コラム
サイゼの「300円ドリア」はいつまで続く? “デフレの申し子”が直面する試練と選択(2/7 ページ)
外食チェーンが次々と値上げに踏み切る中、サイゼリヤは低価格路線を堅持しています。しかし、原材料費や人件費の高騰により、国内の利益率は低下。安さを維持する戦略に限界はあるのでしょうか。
コスト削減はイタリアからの直接調達から始まった
サイゼリヤが低価格を維持できている背景には、創業当初から一貫して徹底されてきたコスト削減の仕組みによって、安定して利益を確保してきたことが挙げられます。
1970年代、まだ日本でイタリア料理が一般的でなかった時代に、サイゼリヤはワインやパスタ、オリーブオイルやトマトソースなど、保存性の高い食材に目をつけ、それらをイタリアから直接大量に輸入していました。こうした食材は在庫管理もしやすく、大量輸入によってスケールメリットを生かせました。
また、通常はボトルで輸入することが多いワインについても、サイゼリヤではタンクで輸入し、日本国内の工場でボトリングすることで、大幅なコスト削減を実現しました。
調達の工夫はそれだけではありません。中間業者を極力排除し、現地の食材業者と直接取引を行うことで、中間マージンを削減。品質の高い食材を安定的に、しかも低価格で仕入れる体制を築いていきました。
こうした仕組みは現在も引き継がれており、イタリア現地で契約している複数の業者と協力関係を結び、継続的な品質向上や新メニュー開発にも取り組んでいます。
一方で、大量仕入れはリスクをともないます。そのため、サイゼリヤではメニューを絞り込み、調達から在庫、調理に至るまでの工程を標準化してきました。メニューの数を限定することでロスを減らし、効率化を最大限に図ることで、コストを最小限にしつつ、利益を最大化していったのです。
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