インタビュー
老舗薬局の社長が「ヒーロー」に、社内の反対押し切りなぜ? 40倍リターンを生んだ「オーガマン」誕生秘話(1/3 ページ)
老舗薬局が直面した経営危機。その打開策は、社長自身がヒーローに“変身”することだった。異色の挑戦が、なぜ年率10%成長を生んだのか?
「薬飲んで、寝ろ。」
一度聞いたら忘れられない、少しぶっきらぼうなセリフ。これは、福岡県を中心に121店舗を展開する老舗・大賀薬局(福岡市)が生んだ薬剤師ヒーロー「薬剤戦師オーガマン」の決めゼリフだ。
そしてこのヒーローに変身するのは、同社の社長、大賀崇浩氏その人だ。
オーガマン誕生以降、同社の売り上げは年率約10%のペースで成長しているという。なぜ大賀社長は、自らヒーローになる道を選んだのか。
「大企業病」脱却目指して
福岡・九州地方に集中して調剤薬局やドラッグストアなど121店舗を展開し、在宅医療からオリジナル商品の開発まで手掛ける大賀薬局。ドラッグストア業態を西日本で初めて開業するなど、本来は挑戦心旺盛な企業だったという。
しかし大賀社長が父(現会長)の後を継ぐため当時勤めていた商社を退職し、家業へ戻った2008年当時、社内の空気はいわゆる「大企業病」がはびこっていたという。
「地域のリーダーとしての自負からか、取引先に対して少し上から目線な組織になっていました。全国チェーンが九州に進出してきても、『お手並み拝見だ』とばかりに静観し、危機感を持って迎え打つという姿勢ではありませんでした」(大賀社長)。
実際に業績は徐々に厳しくなっており、ドラッグストア事業のみで見ると利益は赤字だったという。「もしこのまま何もしなければ、どこかに事業譲渡して終わり。それくらいギリギリのタイミングでした」と大賀社長は当時を振り返る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。気になっていた質問をぶつけてみた。インタビュー後編。
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
企業にとって残業しない・させない文化の定着は不可欠だ。しかし――。
仕事が遅い部下に“あるテクニック”を教えたら、「チーム全体の残業時間」が3割減ったワケ
仕事の効率化や部下育成に悩む上司やリーダーは、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
新入社員「Web会議でカメラオンにする必要なくないですか?」 上司のあなたはどう答える?
「上司として、どう答えていいか分からなくて……」 ある大手製造業の部長から相談されたのは、不思議な話だった。
「廃虚アウトレット」の乱立、なぜ起こる? 絶好調なモールの裏で、二極化が進むワケ
業績を大きく伸ばすアウトレットがある一方で、ほとんど人も来ず、空きテナントだらけのアウトレットが増えている。その原因は何なのか?

