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残クレのゴリ押し、ボディコーティング……車ディーラーはどうやって儲けているのか高根英幸 「クルマのミライ」(4/4 ページ)

自動車ディーラーはどのように収益を確保しているのか。時代とともに、新車・中古車販売や付帯サービスなどの状況が変化している。2025年4月には、“抱き合わせ商法”が問題視された。最近は、高額なボディコーティングが人気で利益率も高いようだ。

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ボディコーティングが稼ぎ頭に

 近年ではコロナ禍によりクルマの生産計画が乱れたことに加え、パーソナルな移動空間としての価値が再認識され、乗用車の需要が高まったこともあり、値引きよりも納期が重視される傾向が強い。契約しても納車が1〜2年後になる場合、値引きによるメリットよりも納期のデメリットが上回るとされるようになってきた。

 結果として1台当たりの利益を得やすい状況でもあるが、全体の販売台数は減少しているから、クルマの販売以外で収益を上げようとするのは当然のことだ。以前は車検や点検など、整備部門の収益率の高さが注目されたが、現在は働き方改革で残業時間が限られていることやメカニック不足で、工場稼働率を以前ほど上げられない。

 そのため、国産ディーラーも車検までのメンテナンスパックで売り上げを確保するようになっている。以前なら、カーナビの装着もディーラーオプションとして利益率が高かったが、最近はディスプレイオーディオを標準装備する車種が増えており、装着率は低下している。

 ちなみに前述の残価設定ローンは、車種によっては6割を超える利用率を誇る人気のサービスとなっている。これはあらかじめ3年後、5年後の車両の残存価格を設定し、それを差し引いた金額を分割で支払うものだ。

 しかし、実際には残存価格にも金利がかかっている場合が多いなど、ユーザーが知らぬ間に損をしているケースもある。それでも高額車に安く乗れることを魅力と感じるなら、ユーザーにとってもうれしいサービスなのだろう。

 最近は、ボディのコーティングが稼ぎ頭となっているようだ。これはボディの塗装面にガラス質の高耐久コーティング膜を形成するもので、長期的に美観を保ち、洗車も簡単になるなどユーザーのメリットも大きい。


ガラス系コーティングは傷付きやすい塗装面を保護するだけでなく、洗車も簡単になるなど、忙しい現代人向けのサービス。ただし施工には専門業者のスキルが必要で、高コストだが利益もしっかり確保できる(写真:Adobe Stock)

 ガソリンスタンドや中古車販売店でも、ボディコーティングは人気メニューだ。必要なコストは、原価数千円のコーティング剤に加え、施工者の人件費と作業用の道具程度であるため、利益率は高い。

 10万〜20万円の高額なコーティングは専門業者に外注することもあるが、確実に利益を見込める。結果として、ディーラーは定期的にコーティングのメンテナンス費用が入るだけでなく、法定点検も誘致しやすく、コンディションの良いクルマを下取りできる。実に“おいしいメニュー”なのである。

筆者プロフィール:高根英幸

 芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。


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