「ヨーカドーのポッポ」はまだ生きている――“昭和の軽食処”のさりげない進化(2/6 ページ)
ピーク時の145店舗から24店舗に縮小したフードチェーン「ポッポ」だが、実は着実に売り上げを伸ばしている。その戦略に迫った。
店舗数はピーク時の5分の1に激減するも……
それ以降、イトーヨーカ堂の事業拡大とともにポッポの店舗数も増加。ピーク時には145店舗を展開していた。ところが、現在は24店舗まで縮小している。これは近年、全国でイトーヨーカドーの閉店が相次いだことが原因だ。売り上げの規模も5分の1ほどに縮小したというが、既存店の業績は堅調だ。
「売り上げ自体は縮小していますが、既存店はここ3〜4年間ずっと売り上げ増を続けており、年平均で1.1倍ほどの伸びです」と渡辺氏は力を込める。成長の背景には、コロナ禍からの回復がある。
木場店(東京都江東区)では、土日のファミリー客に加え、近隣ホテルの外国人観光客の来店も増加している。「江東区はお子さま連れのお客さまが多く、最近は海外の観光客も増えています。近くにホテルが複数あり、滞在中にたこ焼きやラーメンなどを食べに来られる方が多いです」と池田店長は話す。
450席ある木場店は、ポッポの中でも業績がトップクラスであり、地域密着型の成功例といえる。
「来店されるお客さまの多くが自転車利用という点からも、地元密着型の店舗であることがよく分かります。週に2回ほどイトーヨーカドーに買い物に来て、毎回ポッポを使ってくれている、いわばヘビーユーザーなのです」(渡辺氏)
イトーヨーカドー木場店が開業したのは2000年11月だが、その時からポッポに通い続けている地元客もいるそうだ。また、ポッポにも20年以上勤務する従業員がおり、顧客との強い信頼関係が築かれているという。
この関係性は、新商品の売れ行きにも表れている。
「新商品を出すと、木場店がほぼ毎回売り上げ1位になります。常連のお客さまが初日に買ってくれるからです。この店舗のお客さまたちは、ポッポに愛着をもってくださっていると感じます」(渡辺氏)
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