履歴書に“うそ”を書く人は多いのか 海外の学歴詐称を見破りにくい理由:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
静岡県伊東市長の学歴詐称が話題だが、海外でも大きな問題だ。米国で行われた調査では、7割が履歴書に虚偽の記載をしたことがあると回答。インドでは学歴詐称が広く横行している。海外からの求職者が増える中、経歴を確認できる体制づくりも必要だろう。
偽の大学、学位の販売……インドの学歴詐称
米国以外でもニュースになっている。有名なのは、英国の国民保健サービス(NHS)の幹部だったジョン・アンドリュー氏だ。もともと建設業者だったアンドリュー氏は、自分は医師で、複数の学位を持っているとうそをついて、NHSやホスピスの上級管理職に就き、10年間で100万ポンド以上を得ていた。ところが2017年に経歴詐称が発覚し、実刑判決を受けた。
世界にはさらにダイナミックな国が存在する。インドである。
インドの場合は、偽の大学が乱立しており、そこから偽の学位が売り出されて問題になっている。というのも、国外に出てしまえば、そうした大学が本当に存在するか、調査が行き届かない状況だった。
2021年には大規模な学歴詐称のスキャンダルが発覚し、国際問題化している。同年2月、インドの政府機関が行った調査で、北西部のヒマーチャル・プラデーシュ州にあるマナヴ・バーラティ大学が、2009年の設立以来、3万6000件もの学位を10万〜30万ルピー(約17万〜50万円)で販売していたと指摘された。
学位を購入して学歴詐称をした人たちは、履歴書に堂々とその学歴を記載して、米国やカナダ、シンガポール、マレーシア、ドバイ、南アフリカといった国々で大学や企業に就職を決めていた。だが学歴が偽物であることが判明したため、進学や就職の道が断たれる事態となった。
ちなみにインドでは、卒業証書などがオンラインで堂々と販売されているくらい、学歴詐称が横行している。州の幹部などが学歴詐称で摘発されるケースもあるし、ナレンドラ・モディ首相の学歴も疑惑があるとして問題視されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「まさかウチが関係していたなんて」では遅い 日本企業に迫るフェンタニルの影
麻薬のフェンタニルの材料が、中国から日本経由で密輸されていることが報じられた。米国では大きな問題になっており、中国が現代版の「アヘン戦争」を仕掛けているともいわれる。日本企業のビジネスにもリスクを伴う。何に気を付けるべきなのか。
その採用、大丈夫? 日本にも広がる「民間企業のスパイ活動」
日本企業の情報が盗まれて海外に渡るケースが増えており、「企業インテリジェンス」が注目されている。世界的な調査会社の日本支社長に取材すると、その活動の一端が見えてきた。企業のビジネスを守るために、どのような対策が必要なのか。
BYDの“軽”が日本に上陸 エコカー補助金の陰に潜む“監視リスク”
中国のEVメーカー、BYDが日本の軽自動車市場に参入すると発表した。中国製のEVを巡っては、欧米でセキュリティの懸念が指摘されている。多くの情報を収集するEVは、スパイ活動にも活用できると見られており、日本でも警戒が必要だ。
日本発の「夢の電池」はどこへ? 日本の技術がどんどん流出する理由
「夢の電池」と期待される技術が中国企業に流出した可能性があることが、国会で取り沙汰された。このようなケースは日本や米国で多数報告されている。怪しい投資などを厳しく規制しなければ、日本の技術開発力がそがれていく危険がある。
テレビCMを打ちまくる「Temu」は危険なのか 激安を実現するビジネスモデルとは
中国の激安通販サイト「Temu」が、テレビCMなどに多額の広告費を投入していることで注目されている。独自のサプライチェーンによって低価格を実現しているが、商品のクオリティーの低さが問題視される。個人データが中国に渡る可能性もあり、懸念は大きい。
