「男が日傘を差すなんて……」をどう変えた? 男性向け日傘180万本ヒットのワケ(3/5 ページ)
2021年に誕生した男性向け晴雨兼用傘ブランド「Wpc. IZA(ダブリュピーシーイーザ)」が好調だ。年々販売数が増加し、シリーズ累計販売数は180万本を超えた。男性の日新市場をどう開拓していったのか。同ブランドを展開するワールドパーティーを取材した。
新市場開拓に向け「晴雨兼用」でアプローチ
男性向けに日傘を売り出すにあたり、同社が打ち立てたコンセプトが「男の晴雨兼用傘」だ。日傘を使ったことがない男性に「暑さ対策で日傘を差しましょう」と言っても、抵抗感は拭い切れない。まずは雨傘として使ってもらい、晴れの日にも使えるとしてアプローチすることにしたわけだ。
男女兼用ではなく、「男の」とうたったのは、「明確に“男性向け”であると伝えないと使ってもらえない」と考えたからだという。
「日傘における男性のニーズは、暑さ対策が最も高いのですが、一方で日焼け対策や晴雨兼用を求める方もいます。何よりも当初は世の中に男性用の日傘を根付かせる必要があったため、デザイン性を前面に押し出して、『男性向けのカッコいい傘ができました。雨でも晴れでも使えます』とアプローチしました」
男性が憧れる存在として、俳優の窪塚洋介さんやオダギリジョーさんなどを起用してプロモーションを実施し、順調に顧客を獲得していった。同社には「1年で1万本が売れたらヒット」という指標があるが、イーザは2021年に約5万本、22年に約12万本を売り上げた。
転機となったのは、夏の平均気温が統計史上最高を記録した2023年。市場に男性用日傘や男女兼用日傘が増え始め、日経トレンディ「2023年ヒット商品ベスト30」では、"メンズ日傘”が第14位に選出された。
イーザでは、2023年6月の梅雨時期に渋谷の路面店でポップアップストアを開催。目立つ広告を掲げたこともあり、SNSで広く拡散されたり、通りすがりの人が多く来店したりして購入につながったという。同年の販売数は、約40万本に拡大した。
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