「男が日傘を差すなんて……」をどう変えた? 男性向け日傘180万本ヒットのワケ(5/5 ページ)
2021年に誕生した男性向け晴雨兼用傘ブランド「Wpc. IZA(ダブリュピーシーイーザ)」が好調だ。年々販売数が増加し、シリーズ累計販売数は180万本を超えた。男性の日新市場をどう開拓していったのか。同ブランドを展開するワールドパーティーを取材した。
競合も続々参入、次の一手は?
ブランド立ち上げから約4年、男性用日傘市場は確実に拡大している。ショッピングモールやバラエティショップなどで「男性用日傘売り場」が展開され、都心を歩くと日傘を差す男性をチラホラ見かけるようになった。
美容皮膚科リゼクリニックが2024年に実施した「男性日傘」に関する調査(※)では、92.2%の男性が「男性が日傘を使用することに肯定的」だと回答した。2022年は79.7%、2023年は83.0%で、年々日傘への抵抗感が薄れているようだ。「この夏、日傘を使用してみたいか」という質問では、「すでに使用している」と回答した人が13.5%で、2023年比で5.5%増加した。
(※)10〜40代の男性600人を対象に、2024年4月7〜9日、インターネット調査を実施。
「イーザは、すでに当社のメインブランドである『Wpc.』に次ぐ売上規模に成長しています。啓発的な活動を2021年から継続して、微力ながら市場形成に貢献できたのかなと思います。一方で、まだ男性の日傘への抵抗感は残っているなと。デザイン性は高く評価いただいていますが、機能性は改善の余地があると考えています。本気でほしいと思ってもらえるかどうかが肝であり、すでに来年度の開発に動き出しています」
遮光や遮熱に加え、優れた撥水機能に携帯しやすいカラビナ付きなど、すでに多様な機能を備えているが、さらなる機能開発を目指すという。
加えて、トータル的に暑さ対策ができる商品展開も見据えている。現在、傘以外に傘と同じ生地を使った「晴雨兼用ハット」も販売しており、さらにラインアップを増やしたいという。男性日傘市場は、ユニクロやイオンなど競合が続々参入しているが、イーザは傘専門ブランドとしての高い機能性を打ち出していく方針だ。
著者プロフィール:小林香織
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年〜約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月〜は東京拠点。
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