「あの人、本当は何を考えているんだろう?」 仕事中の“モヤモヤ”はレゴブロックで解決せよ(1/3 ページ)
仕事をしている中で「あの人、本当は何を考えてるか分からないな」と感じた経験はありませんか? 仕事中の“モヤモヤ”をレゴで解決する方法を、グッドパッチが解説します。
本記事はグッドパッチブログ「デザイナーが考える『組織デザイン』(6):手を動かし、思いを『かたち』に チームの『分かり合えなさ』を乗り越える、レゴシリアスプレイの可能性」の転載です。
こんにちは。グッドパッチでデザインストラテジスト兼ワークショップデザイナーとして活動している田中拓也です。私は仕事上、さまざまな企業の組織課題を目にしますが、突き詰めると悩むポイント(本質)は似ていることが多く、解決の糸口も共通するものになってきます。そこで「組織デザイン」のポイントを解説していくことにしました。今回はチームの「分かり合えなさ」について取り上げます。
仕事をしている中で「あの人、本当は何を考えてるか分からないな」と感じた経験はありませんか? 「これってどう思う?」と聞くと、「いいと思います」と当たり障りのない返事が返ってくる。会議で「何か意見のある人いますか?」と問いかけても、誰も手を挙げず、沈黙が流れる。穏やかに物事が進んでいるように見えても、終わった後に「やっぱりあの進め方、納得いかないな」「結局、誰も本音を言ってないよね」といったモヤモヤが交わされる……。
お互いの思いや考えを理解するために会議や会話をしているはずなのに、言葉を交わせば交わすほど、互いの認識のズレや、言葉だけでは埋められない“分かり合えなさ”を痛感する場面も少なくありません。ちゃんと伝えたつもりなのに、なぜ伝わらないのだろう──その感覚、その違和感こそが、次の問いへと私たちを導くのかもしれません。
今回は、そんな根深い「分かり合えなさ」に正面から向き合い、「レゴシリアスプレイ」というワークショップの手法を通じて、組織やチームの対話をいかに変えていけるか、その可能性をご紹介します。
「分かり合えなさ」を解決する、レゴシリアスプレイとは?
レゴシリアスプレイ(以下、LSP)は、レゴブロックという「手で触れる具体的なモノ」を使って、普段は言葉にしにくい思考や感情、アイデア、関係性などを「見える化」し、それについて対話を進めるワークショップの手法です。個人の思考を深め、チームの対話を促進し、問題解決や創造性向上を目指すという目的に相性がいいと考えています。
LSPの基本的なプロセスは、以下の5つ。非常にシンプルです。
(1)問いを立てる:まずは、ワークの目的に合わせてファシリテーターが問いを投げかけます。例えば、「今、あなたがこのチームに感じていることをモデルで表してください」といったような感じです。
(2)自分の思いを組み立てる:Don’t think, feel──参加者は頭で考えすぎてはダメ。とにかく手を動かしながらレゴブロックでモデルを作ります。
(3)作品のストーリーを語る:モデルができたら、参加者は自分が作ったモデルが何を意味するのか、なぜその形や色を選んだのか、その背景にあるストーリーを語ります。
(4)問いと対話:他の参加者やファシリテーターは、モデルに対して「この突起は何を意味しますか?」「このブロック間の距離にはどんな意図が?」といった質問を投げかけ、対話を深めます。
(5)内省する:モデルを作り、語り、問いかけられるプロセスを通じて、自分自身の考えや感情、価値観についての気付きや内省が促されます。
お題に沿って何かを作り、その理由を説明する。端的に言ってしまえば、それだけのことかもしれませんが、皆さんは大人になってからレゴブロックを触りましたか? 実際にやってみると分かるのですが、新鮮な気持ちで取り組めると思います。
このプロセスで重要なのは、レゴで作った物理的なモデルが「語りの起点」となることです。仮にテーマが抽象的な概念だとしても、目の前に具体的な「かたち」として存在するため、参加者は共通の土台の上で対話が行えます。
また、質問は「あなた(個人)」ではなく「あなたの作ったモデル(作品)」に向けられるため、心理的な安全性が保たれやすく、本音での対話が促進されやすくなります。360度あらゆる角度からモデルを眺めたり、物理的に位置関係を変えてみたりすることで、新たな視点や気付きが生まれることもLSPのユニークな点です。
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