ダイニーの「退職勧奨」は法的にどうなのか? 弁護士に聞いた(4/4 ページ)
飲食店の業務効率化支援を手掛けるダイニー(東京都港区)の実施した退職勧奨が、注目を集めている。弁護士に法的にどうなのか聞いた。
退職勧奨の際に企業が気を付けるべきこと
――退職勧奨を社内外に周知する際に、企業はどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
佐藤弁護士: 業務適正に欠けるなど、従業員の個人的な理由による退職勧奨の場合、プライバシーの観点から、そのことを社内外に広く知らせるべきではありません。
大企業が大規模な退職勧奨を行うような場合、早期退職の募集内容、規模、対象者の所属や年齢、早期退職の条件などが広く報じられることがあります。こうした情報が広がる中で、誤った情報や憶測が広がり、会社の社会的評価が下がることのないよう、目的を含め、正確な情報発信を心掛けるべきでしょう。
――退職勧奨を受けた際、従業員はどんな行動をとると考えられますか。また、そうした行動に企業はどう対処するべきでしょうか。
佐藤弁護士: 退職勧奨を受けた際、自主退職に応じる従業員も多くいるでしょう。場合によっては、退職金の金額などの条件について協議を求める従業員も出てくる可能性があり、企業としては誠実に話し合いに応じる必要があります。また、自主退職に応じた従業員の多くは、次の職場を探し始めることになるため、会社としては、そうした従業員が次のステップに進めるよう、再就職支援策を講じることも有効です。
一方、退職勧奨を受けた従業員の中には、明確に自主退職を拒否する意向を示す者も出てきます。その場合、企業としては、強硬な姿勢で退職の説得を続けないようにしましょう。退職勧奨の場面では「退職勧奨を断られたら、仕事を取り上げる」「自主退職以外に選択肢がないことを認識するまで面談を続ける」「能力がない、給料泥棒などと罵る」といった、さまざまなパワハラが起こりやすく、会社が損害賠償責任を負うこともあり得ます。企業としては、退職勧奨はあくまで従業員側の意思があってのことだとよく認識する必要があります。
なお、退職勧奨に従わない従業員を配置転換する際も、注意が必要です。その配置転換が「嫌がらせ目的」と評価されれば違法無効となります。
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