ダイニーの「退職勧奨」は法的にどうなのか? 弁護士に聞いた(3/4 ページ)
飲食店の業務効率化支援を手掛けるダイニー(東京都港区)の実施した退職勧奨が、注目を集めている。弁護士に法的にどうなのか聞いた。
日本と米国、解雇の違い
――最近は、米テック企業を中心にAI影響によるレイオフが増えています。米国企業と日本企業の解雇はどう違うのでしょうか。
佐藤弁護士: 米国と日本では、歴史や文化の違いから、雇用制度の基本的な考え方が異なります。米国では随時雇用の基本原則があり、雇用主が従業員をいつでも解雇することができ、従業員もいつでも退職できるという考え方です。一方、日本では「解雇権濫用法理」により、解雇に厳しい制限をかけています。そのため、米国ではビジネス上のニーズに合わせた解雇がしやすく、日本では難しいという違いがあります。
――退職勧奨する際、企業側がやるべきことを教えてください。
佐藤弁護士: 大規模な早期退職者の募集や退職勧奨を行う場合、説明会を開催し、従業員が退職勧奨に応じるか否かの判断材料を提供する場を設けるとよいでしょう。また、退職金の割増など、従業員が早期の自主退職に応じるメリットを用意しておくと、スムーズに進む可能性が高まります。この機に退職する者について、退職の条件を明確に定め、対象者に説明することが大切です。
さらに、あらかじめ、再就職支援の制度を導入することも有効です。例えば、求職活動のための特別な休暇を与えるなど、求職活動をしやすい環境を整えたり、会社が人材会社と契約し、退職者が再就職先を探す際、履歴書の添削や面接練習などのサポートを受けられるようにしたりすることが考えられます。
その他、退職勧奨の結果、従業員との間で合意が成立した場合、退職合意書の中で、競業避止義務、貸与物の返還、秘密保持義務などについても定めておくと、後のトラブルを防ぐことにつながるでしょう。
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