ダイニーの「退職勧奨」は法的にどうなのか? 弁護士に聞いた(2/4 ページ)
飲食店の業務効率化支援を手掛けるダイニー(東京都港区)の実施した退職勧奨が、注目を集めている。弁護士に法的にどうなのか聞いた。
退職勧奨と整理解雇の違い
――今回のダイニーの退職勧奨は不当ではないのでしょうか
佐藤弁護士: 今回のダイニーの退職勧奨は、具体的にどのような態様で進めているか分かりませんので、評価することは難しいです。
不当な退職勧奨か否かについては、前述の裁判例が示しているように「(退職勧奨を受けた)労働者の任意の意思を尊重し、社会通念上相当と認められる範囲」か否かがポイントになります。具体的には
- 退職勧奨を受ける者の態度(明確に自主退職を拒否しているか、任意に応じているか)
- 強く直接的な表現の有無(例:「辞めていただくのが筋」などの表現があるか)
- 懲戒免職の示唆の有無
- 説得時間の長さ
などの事情を総合的に考慮して判断されることになります。
なお、退職勧奨とは別に、「整理解雇」というものがあります。整理解雇とは、企業側の事情で人員を削減するために行う解雇です。退職勧奨が従業員の意思による自主退職を促すことであるのに対し、整理解雇は会社からの一方的な解雇であるため、労働法の規制を受け、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」となります(労働契約法16条)。
多くの裁判例を踏まえると、有効な整理解雇をするためには、少なくとも「人員整理の必要性」「解雇回避の努力義務」「解雇対象者選定の合理性」「解雇手続の妥当性」という4要件を満たすことが必要です。
ダイニーのように、最近、日本でもいわゆる「黒字リストラ」を行う企業が出てきていますが、いずれも、従業員の自由な意思による退職を募ったり、促したりするものと考えられます。一方、黒字での「整理解雇」は、経営不振により会社を維持するためにはどうしても人員削減が必要であるという場面ではないため、4要件を満たさず、法的に困難です。
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