ブラックカードより上、「Infinite」 三井住友カード、最上位ランク導入の狙い(2/5 ページ)
三井住友カードが2025年秋に導入する「Visa Infinite」は、Visa最上位ランク。高い決済手数料率により高還元と特典を実現し、新富裕層を狙う。その戦略は?
国際ブランドが決める「見えないランク」
一般的にクレジットカードのランクは、カード会社が自由に決めているように見える。三井住友カードなら「クラシック」「ゴールド」「プラチナ」「プラチナプリファード」といった具合だ。しかし実際は、国際ブランドに明確な格付けシステムが存在する。
「カード会社がどういう名前を付けるかは確かに当社が決めることだが、Visaのような国際ブランドの中にもランクという考え方がある」と、Oliveの開発責任者である三井住友カードマーケティング本部本部長の伊藤亮佑執行役員は説明する。「最低これをやってくださいというルールがあり、『こういう基準をクリアしているカードをVisaとしてゴールドと認める』という仕組みになっている」
具体的には、ポイント還元率の下限や海外旅行保険の保険金額などのサービス内容で構成される。「下限がある」という表現が示すように、各ランクには最低限満たすべき条件が設定されている。
ゴールドからプラチナ、そしてInfiniteへとランクが上がるにつれて、これらの基準も段階的に引き上げられる。これらの条件を満たしてVisaと合意できれば、プラチナカードとして認められるという仕組みだ。
一方で「ブラックカード」と呼ばれるカードについては意外な事実がある。「ブラックというのは、ブランドのランクとしてはなく、世の中の通称のようなもの」(伊藤氏)だそうだ。つまり、国際ブランドの正式なランクではプラチナのままでも、カード会社が「ブラック」と名付けて発行しているケースも存在するという。
Infiniteランク自体は決して新しいものではない。グローバルでは2000年頃から存在し、既に20年以上の歴史を持つ。主にアジアの富裕層向けカードとして発行されてきたが、日本市場への本格的な導入は今回が初めてとなる。
実は日本でも過去にInfiniteカードは存在していた。スルガ銀行が顧客向けに招待制で「SURUGA VISAインフィニットカード」を発行していたが、Infiniteという言葉が定着していない日本ではSURUGAのVISAブラックカードなどとも呼ばれていた。しかし、2023年1月に取り扱いを終了している。
これまで日本でInfiniteカードが広まらなかった理由については後で詳しく述べるが、キャッシュレス化の進展などにより状況は大きく変わりつつある。
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