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過去最高の売上439億円! 渋谷パルコ、好調でも大改装に踏み切った理由(2/4 ページ)

大規模改装を進めている渋谷PARCOに、外国人観光客がたくさん訪れている。現地を訪れ、改装の狙いと反響を取材した。

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「過去最高業績」を達成した背景

 1973年に開業した渋谷PARCOは、他社の百貨店に比べて駅からやや離れた場所にある。そのため集客策として、国内外の新進気鋭ブランドを導入し、西武劇場(現・PARCO劇場)で公演を開催するなど、ファッションやカルチャーの発信拠点として存在感を高めてきた。

 2016〜19年の建て替えでも、変化する渋谷の環境に合致させながら、競合との差別化を強化した。2019年11月の新装開業時、渋谷では「渋谷スクランブルスクエア」(2019年11月開業)や「MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)」(2020年7月開業)といった大型商業施設の開業が立て続くなど、周辺環境が目まぐるしく変化。外国人観光客も急増していた。


2019年の新装開業時に誕生した地下1階の飲食ゾーン「カオスキッチン」。2025年現在もコンセプトは健在だ(筆者撮影)

 「2019年の改装テーマは、『世界へ発信する唯一無二の“次世代型商業施設”』でした。例えば、地下1階の飲食ゾーンは、『ジビエ』や『昆虫料理』など多彩なジャンルの飲食店とレコードやフェスグッズなどのショップをごちゃ混ぜにした“カオス”な空間に。6階は、ジャパンカルチャーを発信するフロアとして、国内初の任天堂の直営オフィシャルショップ『Nintendo TOKYO』や『ポケモンセンター シブヤ』などが開業しました」


公式Webサイトに「オウンドメディア」を作り、取り扱いブランドの魅力をアピール(渋谷PARCOのWebサイトより)

 新装開業後は、Webでのプロモーションも強化した。渋谷PARCOのWebサイト内に「Features(特集)」のカテゴリーを設置。人気アイドルや俳優、これからブレイクしそうな人物を起用し、取り扱いブランドのアイテムをスタイリングして雑誌のように店舗を紹介するなどの独自企画を配信している。

 SNSの発信力も高めており、中国版Instagramとも言われる「小紅書(RED)」のアカウント運用を開始。現在のフォロワー数は2万3000人で、渋谷区大型商業施設で最も多いという。


渋谷PARCOの「テナント取扱高」の推移(筆者作成)

 コロナ禍となった2020年度、2021年度の取扱高は目標に及ばなかったが、インバウンド需要が戻った2024年度は、過去最高取扱高を達成。2020年度比で約3.7倍となる439億円にのぼった。インバウンド関連の取扱高は前年度比57.4%増で、取扱高の41.2%を占めるまでに伸長。国・地域別の免税売り上げは、中国、台湾、米国、韓国の順に多かった。

 「好調を牽引したのは、6階のゲームやアニメのショップと1階のラグジュアリーブランドです。特に、6階は外国人観光客から絶大な支持があり、集客の起爆剤になりました。ただ、インバウンド一辺倒ではなく、ファッション感度の高い方の来店も目立ちます。洋服への関心が非常に強く、高単価の製品も購入するような方々です」

 独自性を高めたフロア構成とSNSやWebを使ったプロモーション戦略などをかけ合わせたことが、集客と売り上げの向上につながったという。

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