顔だけ出して即退社……「出社回帰」のウラで広がる「コーヒーバッジング」の代償とは?:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/3 ページ)
米国で最近、「Coffee badging」という働き方が流行っています。出社後、コーヒー1杯で帰ってリモートワークをするというものです。
会社を介したつながりなくして、「働く」ことは成り立たない
しかしながら、どんな仕事であれ「私の力」だけで完結するものはありません。個人的な話で申し訳ないのですが、会社や会社員という枠の外のフリーで生きていると、つくづく「他者の存在」の大きさを実感します。自分の能力と信じているものでさえ、「私の力」だけで存在するわけではないのです。
例えば、パフォーマンスの腕を買われてヘッドハンティングされてきた人が、期待に応えられないことが往々にしてあります。なぜ、職場のスーパースターがダメになるのか? その謎を解いたのが、ハーバード・ビジネス・スクールのボリス・グロイスバーグらの調査です。ウォール街の投資銀行で働く1000人以上のアナリストを対象に実施した調査で、個人のパフォーマンスは個人の能力ではなく、「同僚との関係性」に支えられていることが分かりました。
具体的には、職場のメンバー同士が信頼し、お互い敬意を払っている環境で働いている人は、成績が極めて高かった。しかし、信頼を築くには時間がかかります。どんな優秀な人でも、「同僚との質のいいつながり」なくしてパフォーマンスは発揮されません。
“つながる”とは「共感」であり、「信頼」をつなぐこと。そのためには共に過ごし、相互依存関係を構築する。重要な情報やスキルを共有し、互いに刺激しあうことで自分の能力も引き出されていくのです。
ここでのつながるとは、フェースtoフェース=対面を意味します。「他者とのつながり」といったおカネに換算できない無形のリソースは、私たちが生きる全ての局面で、「私」を支えています。経営者や会社から「出社」を押し付けられると不本意なものですが、会社という「場」を介したつながりなくして、働くという行為は成り立ちません。
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