「時短なら管理職を辞めてくれ」──これって違法?【事例で解説】(1/3 ページ)
女性管理職を増やす動きが活発化していますが、果たして、時短で管理職は可能なのでしょうか。その課題と企業側の対応について考察します。
育児や介護といった家庭生活との両立のため、時短勤務を希望するケースも少なくありません。果たして、時短で管理職は可能なのでしょうか。その課題と企業側の対応について考察します。
【事例】課長職のまま時短勤務は難しい? ある女性管理職のケース
Aさん(35歳・女性)は、大学卒業後、甲社(従業員数300人)の企画課で商品デザインを担当し、3年前に企画課長へ昇進しました。プライベートでは5年前に結婚し、その後長子を出産。1年間の育児休業を終えて7月に復帰しました。部署で部下たちに復帰のあいさつを終えた後、B総務部長(社内における人事・総務の責任者)のところへ行きました。
Aさん: B部長、お疲れ様です。やっと復帰できたので遅れを取り戻せるようにがんばります。
B部長: その報告を待っていたよ。これからもバリバリ頼むよ。
Aさん: ところで、勤務時間について相談したいことがあります。
B部長: 何だね?
Aさん: 子どもの保育園ですが、今は実家の母にお迎えを頼んでいます。しかし家庭の事情で8月から私が迎えに行くことになるので、時短勤務を希望したいです。確か子どもが3歳になるまで時短勤務は可能ですよね?
B部長: 確かに、わが社の勤務時間は午前9時から午後6時まで(休憩時間は1時間)で、時短勤務制度を申請すれば、午前9時から午後4時までの6時間勤務になるよ。でもねえ……。
Aさん: 何かまずいことでもありますか?
B部長: 課長職での時短勤務は、難しいんじゃないかなあ……。
Aさんが理由を尋ねると、B部長は部下の育成や会議への参加対応は、フルタイムでないと厳しいという見方を示しました。企画課ではメンバーがプロジェクトごとに分かれて業務をしており、夕方にならないと皆がそろわないため、会議や個人指導はだいたい午後4時過ぎから行っています。現状ではAさんの都合だけで変えるのは難しいように見受けられます。
B部長: もちろん時短勤務は申請すれば認めるよ。でも、今までの管理職の中で時短の申し出をした人はいない。もし時短勤務にするなら、主任のポジションになるね。就業規則にその旨は書いてあったと思うけど。
Aさん: そんな……。これまで一生懸命仕事に励んできたのに育児と仕事、どちらを優先したかで、キャリアを諦めなければならないんですか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ミスしたのに「定時で帰る」部下 しわ寄せに苦しむ中年に、会社がすべき対応は?
昨今、ワークライフバランスの重視や残業代などの人件費削減の影響で、多くの企業が若年層を中心とした一般社員の残業を抑制する働き方を推進しています。しかしその裏では、しわ寄せに苦しむ中年が……。
「管理職になりたくない」 優秀な社員が昇進を拒むワケ
昨今は「出世しなくてもよい」と考えるビジネスパーソンが増えている。若年層に管理職を打診しても断られるケースが見受けられ、企業によっては後任者を据えるのに苦労することも。なぜ、優秀な社員は昇進を拒むのか……。
「管理職辞退」は悪いこと? 断る際に重要な2つのポイント
昨今「管理職になりたくない」「管理職にならない方がお得だ」――という意見が多く挙がっている。管理職にならず、現状のポジションを維持したいと考えているビジネスパーソンが増えているが、管理職登用を「辞退」するのは悪いことなのだろうか……?
指示ナシ組織で中間管理職を救え! 「忙しすぎ問題」の背景に2つの元凶
「管理職じゃないし……」視座が低い部下 リーダーシップを育む3つのポイント
ビジネスパーソンの多くは、「言われたことを全うする」、フォロワーシップの意識を持っていると思います。自身が管理職やリーダー層でない限りは、リーダーシップを身に付ける必要はないのでは? と考えている方も多いかもしれません。
窓際でゲームざんまい……働かない高給取り「ウィンドウズ2000」が存在するワケ
「ウィンドウズ2000」「働かない管理職」に注目が集まっている。本記事では、働かない管理職の実態と会社に与えるリスクについて解説する。
