ドンキは本当に最強なのか? 地方スーパーが突きつける“一強多弱”の限界(2/7 ページ)
国内外で快進撃を続けるドンキに異変か。圧倒的な現場主義で拡大を続ける一方、地方発スーパーが「超本社主義」で成長を遂げ、王者の牙城を脅かし始めている。
西荻窪の「泥棒市場」から始まった革新的な販売スタイル
ドンキの歴史は1978年、倒産した企業の処分品や廃盤品などを安く仕入れて販売する「泥棒市場」という名前の店舗を、西荻窪にオープンしたことから始まります。店内に商品を積み上げる「圧縮陳列」により手間を省き、手書きのポップで商品を訴求するスタイルは、狭いスペースを有効活用する必要から生まれたものでした。
そして何より、当時画期的だったのが「深夜営業の導入」です。1人で仕事をしていた創業者が、棚卸しや在庫管理で夜遅くまで店にいたところ、自然とお客が入ってくる。そんな経験から、「夜中も営業したほうが良い」と判断し、深夜営業を始めました。
コンビニが現在ほど多くなかった時代。歌舞伎町のような眠らない街以外で深夜営業を行う店舗は珍しく、夜中でも必要なものを購入できる場所として、一定のニーズをつかみました。
ただ、ドンキの経営は当初から順風満帆だったわけではありません。深夜営業の店舗には、行き場のない若者たちがたむろすることもあり、治安面で問題視されることも多くありました。そのため、近隣住民からは「店舗を出さないでほしい」と出店を反対されるケースもありました。
また、圧縮陳列の商品に放火される事件も発生し、住民との摩擦やネガティブキャンペーンも行われるなど、逆風にさらされた時期もありました。
それでもドンキは、着実に店舗数を拡大。2004年には100店舗を突破し、売上高は2003年度に1586億円に到達。その後の10年間で売り上げは約3倍の5000億円に、さらに10年後には2兆円に達し、4倍の成長を遂げています。
このように飛躍できた背景には、国内外での“ある戦略”がありました。
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