アパレルのトレンドは、誰がつくっているのか:アパレルビジネス(1/3 ページ)
トレンドは「コレクショントレンド」と「マーケットトレンド」に大別される。前者は国際的なコレクションや素材展示会を経て形成され、後者は市場やストリートから自然発生的に拡散する。また近年は、文化の盗用問題も影響していて……。
この記事は『アパレルビジネス』(久保雅裕/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。
トレンドはどこから生まれるのか。不思議に思いますよね。どこかで誰かが心象操作しているとか、広告代理店が作っているとか、いや自然発生的なものだとか。実はどれも当たりなのです。トレンドは大別するとコレクショントレンドとマーケットトレンドの2つがあります。
簡単に説明しますとコレクショントレンドは、年に2回開かれる春夏コレクション(6〜10月)と秋冬コレクション(1〜3月)というバイヤーに向けて見せるBtoBの発表の場から、市場に商品が出る半年前に発信されるものです。
ここには、緻密(ちみつ)な仕掛けがあります。まず2年前にインターカラー(国際流行色委員会)という機関が、2年後に流行りそうな色を発表します。その半年後に流行色を参考にしながら、糸や生地を作る川上の業界が世界的な素材見本市の「プルミエールビジョン(PV)」(パリ)や「ミラノウニカ」(ミラノ)で生地のコレクションを発表します。
この段階で色だけでなく、光沢や質感、柄なども一定の方向性が出てきて、テキスタイルトレンドと呼びます。さらにプロモスティルやトレンドユニオン、ネリーロディといったトレンド予測会社がフォーキャストを時事情勢や世界的なマインドも加味して発表します。
続いてさらに半年後に先ほどの製品を披露するシーズンコレクションが開かれます。皆さんが良くご存じのパリコレ、ミラノコレ、NYコレなどランウェイショーだけでなく、同時期にプレゼンテーションやトレードショー(合同展)、個別の展示会・ショールームが開催され、バイヤーが買い付けを行い、どんな傾向が強く押し出されたのかが判断されます。
先ほどの色、素材、柄に加えて、シルエットやディテールの傾向も加わります。これらの傾向をメディアやWGSNといった製品トレンド予測会社がまとめて発表し、コレクショントレンドが形成されます。そして市場に出回るのが、流行色を発表してから2年後のことになるというわけです。
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