インタビュー
「写ルンです」17億本突破 なぜ、Z世代はアナログに夢中なのか(2/4 ページ)
累計17億本を突破した富士フイルムの「写ルンです」。Z世代を中心に人気が再燃する中、スマホ専用アプリ「写ルンです+」でアナログの魅力を残しつつ、デジタル体験を拡張する狙いを探る。
アナログとしての価値を高める
アプリ開発のきっかけは、写ルンですの現像時に、6割以上の利用者がデータでの受け取りを希望していたことだ。「より簡単にデータを受け取れ、かつアナログとしての価値を最大限に楽しめるサービスを提案できないかと考えた」と植松さんは振り返る。
ここ数年は、レトロブームで昭和時代のアイテム人気が再燃しているケースも目立つ。写ルンですもその流れの一環と見られがちだが、富士フイルムは違った見方をしている。
その根拠としたのは、同じくアナログ写真を楽しめる「チェキ」の好調さだ。1998年に発売されたチェキは、一時期売り上げが落ち込んだものの、2007年頃から17年以上にわたって成長を続けている。2023年度の売上高は1500億円を超え、2024年度には累計販売台数が1億台を突破した。
植松さんは「アナログの価値は、一時的なブームとして終わるとは捉えていない」と語る。デジタルネイティブ世代にとっては、アナログ体験が「新たな価値」として受け入れられているとし、チェキの17年以上にわたる成長が、その見方を裏付けているという考えだ。
加えて、グローバルでの人気拡大も追い風になっている。写ルンですは海外で「クイックスナップ」の名称で販売され、統括マネージャーの高井さんは「日本だけでなく世界各地で人気が高まっている」と説明する。同社は、チェキと写ルンですを重要事業として強化していく方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
衰退するシャープは「日本そのもの」か “世界の亀山モデル”が失敗パターンにハマった理由
シャープが、テレビ向け大型液晶パネルの生産を2024年9月末で終了すると発表した。同社はまるで「世界の変化に対応できず」衰退していく「日本そのもの」のようだ。なぜかというと……。
「47都道府県ピンバッジ」が人気 なぜ「群馬県」が断トツに売れたのか
地図を扱うゼンリンが都道府県のカタチをしたピンバッジを販売したところ、想定以上に売れている。47種類を販売して、どの都道府県が最も売れたのか。トップは……。
コクヨ「大人のやる気ペン」が人気 約1万円でも売れる“共感の理由”
コクヨが発売した「大人のやる気ペン」に注目が集まっている。マクアケで約3500万円の応援購入が集まり、その後も売れている。ニッチな高額製品なのに、なぜ人気なのか。
360度くるくる回せる「焼き鳥器」が人気 開発のきっかけは、行きつけ店の閉店
ガードナーが開発した、煙が出ない串焼き器「YAKITORiLL(ヤキトリル)」が「Makuake」で話題となっている。開発のきっかけや狙いを、開発者の椿拓巳さんに聞いた。
ドリップもサイフォンも、これ1台で実現 タイガー「毎日飲みたくなるコーヒー」開発の舞台裏
コーヒーの淹れ方には「透過式」と「浸漬式」があるが、1台で両方を可能にしたコーヒーメーカーが登場した。タイガー魔法瓶の「HYBRID BREW」だ。担当者に開発の舞台裏を聞いた。


