【法改正】10月から変わる「育児・介護休業法」 改正のポイントと企業がとるべき対策は?:労働市場の今とミライ(4/4 ページ)
改正育児・介護休業法(育介法)は2025年4月の第1弾に続き、第2弾が10月1日から施行される。最大の目的は「男女で育児・家事を分担しつつ、育児期の男女が共に希望に応じてキャリア形成との両立を可能とする仕組みを構築する」ことにある。
取得率と取得日数
取得率だけではなく、取得日数も重要だ。厚生労働省が発表した「2023年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業の取得期間は「1カ月〜3カ月未満」が28.0%、「2週間未満」は37.7%となっている。
積水ハウスが9月19日に発表した「男性育休白書2025」によると、未就学児がいる家庭の男性育休取得率は36.3%と、前年(34.3%)を少し上回った。しかし、取得日数の平均は21.5日と前年の36.1日から約2週間も短くなっている。同白書では、その理由として、取得率公表義務化の影響で「少ない日数でも少しでも取得させたいという企業の姿勢が反映されているようだ」と分析している。
実際に2〜3日程度しか取得しない企業もあるようだ。男性育休取得率が40%台に達しても、取得日数が短ければ「とるだけ育休」になってしまう可能性もある。それでは決して女性の両立支援やキャリア形成に結び付くことはないだろう。
そうした中、三井住友銀行は9月19日、男性社員を対象に1カ月以上の育休の取得を10月から必須化すると発表した。また、女性を含め、育休を取得した社員本人と所属部署の同じチームで働く全ての同僚に1人5万円の「報奨金」の支給も始める。
今では、男性の育休取得率は女性に限らず男性求職者の企業選びの指標になっている。企業にとっても人手不足の中で、女性の採用率や定着率の低さは大きな痛手だ。女性のキャリアロスが生じない育児との両立支援の充実が、企業の持続的成長に不可欠な時代になりつつある。
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