「格安・大容量コーヒー」東京で1日1000杯爆売れ 韓国発カフェの緻密な戦略(3/5 ページ)
2025年1月、虎ノ門に開業した韓国発のコーヒーチェーン「マンモスコーヒー」が好調だ。ランチタイムは行列ができる反響で、リピート率は約7割。10月には2号店も開業予定だ。大容量・低価格が特徴だというが、どんな店なのか。
韓国同様のモデルで日本進出
韓国で順調に成長したマンモスコーヒーは、世界有数のコーヒー消費国であり、人口や市場の大きさに加え、韓国から物理的に近い利点を持つ日本市場に注目。市場調査を進める中で、事業拡大の可能性が見えてきたという。
「日本では、専門性のあるコーヒーを手頃な価格で、しかもテークアウトに特化して提供しているブランドはまだ多くないと感じました。韓国に比べてカフェの密度がそれほど高くない点も大きな魅力でした」
そうして、2025年1月、東京メトロ「虎ノ門駅」(B4出口)から徒歩1分の立地に路面店を開業。虎ノ門を選んだのは、純粋に自社のサービスや価格・品質が受け入れられるかを検証するためだ。観光客も多い渋谷や韓国ブランドが集まる新大久保などと比べて虎ノ門はノイズ(不要な情報)が少なく、サービスの本質に対するリアルな反応を得やすい立地だと考えたという。
メニューは韓国と同様ながらも、本国の約100種類から絞り込み、日本では約30種類を展開。韓国ではフードメニューも提供するが、日本ではドリンクのみとしている。
特徴的なのは、サイズ感と価格だ。サイズは「S:355」「M:470」「L:650」(ホットの場合、単位は全てミリリットル)と大容量で提供。コンビニカフェのSサイズは150〜160ミリリットル、スターバックスのショートは約240ミリリットル(いずれもホット)で、他社と比較すると大容量が際立つ。
マンモスコーヒーのスタンダードメニュー「アメリカーノ」は、S:190円、M:250円、L:400円。計算すると、1ミリリットル当たりの単価はコンビニカフェの約半分、スターバックスの約3分の1だった。
コーヒー豆は主にブラジル産で高品質なものを使い、韓国同様に飲みやすく、均一な味わいを提供できるよう全自動コーヒーマシンを採用。豆を挽(ひ)く粒度や温度、抽出時間など詳細な設定が可能なため、高度な技術を持たないアルバイトスタッフでも、品質を安定して提供できるという。
約13坪の小規模な店舗には、セルフオーダー用マシンが2台設置され、顧客は店頭またはモバイルで注文できる。そのため、店頭スタッフは基本的にコーヒーを作って提供することに集中できるという。
こうした徹底した効率化により、品質を維持しつつ大容量・低価格での提供を実現している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
ドンキ「152円ビール」じわり人気 “地味過ぎる”見た目になった深いワケ
ドンキのPBビール「ド」シリーズがじわじわ売れている。モノクロのシンプルなデザインと1本152円の低価格で、若年層やライトユーザーを中心に支持を広げているようだ。
なぜラーメン二郎は信者を生むのか 支配と服従がもたらす“中毒性”の正体
ラーメン二郎府中店がXに投稿した「食事は20分以内」の“お願い”が話題になっている。「客を支配している」と批判する人もいるが、むしろ日本では今後そうした店舗が増えていくのではないか。その理由は……。
「天下一品」閉店の背景は? 唯一無二の“こってり”に陰りが見える理由
天下一品の大量閉店が話題になっている。フランチャイジー側の店舗戦略が関係しているとの話もあるが、本当だろうか。天下一品のヘビーユーザーでもある筆者の見解は……。




