元球団社長が「地方の回転すし屋」に……なぜ? 銀座、国会議事堂に打って出た塩釜港の勝算:地域経済の底力(6/7 ページ)
行列の絶えない回転ずし店「塩釜港」が、銀座や国会議事堂などに次々と出店している。その背景にある思いとは……。
地方には宝がある
経営の基盤を固めつつも、スピード感のある事業拡大を行っている。2026年1月に京都店、3月には都内で大井町店がオープンする予定だ。京都店はインバウンド向けで、ヤママサの商品も並べる予定だ。もちろん、海外展開も視野に入れている。
また、株式上場も見据えている。「すしと異なる業態も含め、コングロマリット(複合経営)にしてさまざまなビジネスを立ち上げる」と立花社長は積極的だ。
新たな事業構想として挙げたのが、塩釜の観光開発だ。
「オーベルジュ(宿泊できるレストラン)のような施設を塩釜神社の脇あたりに作り、国内外問わず、多くの人たちがすしを食べに来るような街にしたい。東北エリアはアピールが弱く、すしでは石川県や富山県などに負けてしまっていますが、観光客を呼べる実力は十分にあります」
立花社長のビジョンは塩釜港の経営にとどまらない。地域活性化をテーマに掲げたPROSPER(プロスパー)というファンドを2022年4月に設立した。
「地方には宝がたくさんあるが、収益化できていない。だからこそ、ビジネスチャンスがある」
多くの地方が陥っている「良いものを安く売るという悪習慣」を変革することが当面の目標だ。「地方の人はそれが良いことだと思っていますが、これだけ物価が上がっているのに、例えば東京で5万円のものが地方では1万円というのはおかしい」と立花社長は指摘する。
ファンドには自己資金を投入し、責任を持ってやり切る覚悟だ。
「地方創生に勝ち筋があるからビジネスをしているわけではなく、純粋に宝があると信じているからやっているのです」
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