2015年7月27日以前の記事
検索
連載

アサヒに襲ったサイバー攻撃 ランサムウェア被害と身代金の現実世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

アサヒグループホールディングスがサイバー攻撃を受け、被害が拡大している。業務を妨害して内部情報を盗み、身代金を要求するランサムウェア攻撃は巧妙化。基本的な対策を見直し、可能な限り攻撃を困難にすることが重要だ。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
前のページへ |       

まずは基本的な対策の再確認を

 では、巧妙化するランサムウェア攻撃に対して、組織として何ができるのか。日本とシンガポールに拠点を置くサイバーセキュリティ企業「サイファーマ」のクマル・リテシュCEOによれば、攻撃者が狙う攻撃対象領域(アタックサーフェス)を最小限に抑えることで、攻撃者の侵入を可能な限り困難にできるという。

 そのためには、自分の組織のシステム環境をきちんと調べ、脆弱(ぜいじゃく)性や設定ミスなどを洗い出す必要がある。また、使用しているOS(基幹ソフト)やソフトウェア、ファームウェアのアップデートを実施して、セキュリティを最新の状態にしておくことが重要となる。


組織のシステム環境を把握し、基本的な対策を再確認することが大切だ(画像提供:ゲッティイメージズ)

 加えて、フィッシングメール対策や、VPN(仮想プライベートネットワーク)によるリモートアクセスの制限なども再確認すべきだ。多要素認証(MFA)も対策としては効果的だという。

 こうした基本的な対策も実行できていない企業は少なくない。ランサムウェアなどのサイバー攻撃は、もはや誰にでも起き得る脅威となっており、その脅威がなくなる可能性もない。自分の身を守れるのは自分だけだと肝に銘じるべきである。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)、『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。

Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る