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桃太郎の「きび団子あげるから家来に」は通用しない 理想のリーダーはなんて言う?(2/3 ページ)

桃太郎の「きび団子あげるから家来になれ」は現代のリーダーシップとしては通用しません。では、どんな言葉が適切でしょうか?

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――「想像力」や「伝わり方のデザイン」とは、どのようなスキルでしょうか?

 リーダーに必要な「想像力」とは壮大なビジョンを描く力ではなく、相手がどう受け取るかを先回りして読む力です。「何を伝えるか」ではなく「何が伝わるのか」を考えることです。

 例えば、部下の行動や取り組みに感謝する場面で「ありがとう」と伝えても、部下によっては「うちの上司は『ありがとう』と言えば済むと思っている」と受け取られる場合があります。これでは本来の感謝が伝わりません。

――「ありがとう」でうまく伝わらないとすると、代わりにどんな言葉を使えばよいのでしょうか?

 ここで必要となるのが、3つ目の「伝わり方のデザイン」のスキルです。単に「ありがとう」と伝えるのでなく、「私はうれしかったよ」「とても誇らしく感じたよ」と具体的な感情を伝えてみましょう。すると、よりポジティブに伝わります。

 部下とのコミュニケーションにおいて「頑張ろう!」という言葉もよく使うと思いますが、「どれくらいなら頑張れそう?」と問いかけに変えます。そうすれば、メンバー自身が主体的に考えるという行動につながっていきます。

――4つ目の「影響力」とは具体的にどのようなスキルでしょうか?

 「いないときに自分がどう語られるか」をデザインする力です。リーダーになると部下の人数が増えますから、一人一人と対面で話す時間はどうしても減っていきます。一緒にいないときでも語られる存在なのか、忘れ去られる存在かがまず大事なポイントです。

――リーダーが不在でも存在感があるか、ということですね。

 そうです。大切なのは、伝えた瞬間や接した瞬間だけではなくて、その後の余韻、余波でどのように記憶されるか。例えば、私はチームメンバーには常に「新しいことに挑戦しよう」「誰もやっていないやり方を考えてみよう」と言い続けているのですが、私がいない場でも「このアイデアって新しいかな?」「林さんに喜んでもらえるかな?」と話題に上がるようです。

 オバマ元大統領の「Change」や林修さんの「今でしょ!」は、時を経ても記憶に残るメッセージの典型だと思います。本人が不在でも、価値観や判断基準が共有され、メンバーの行動や意思決定に影響を与える。これこそがリーダーに必要な「影響力」の真髄だと思います。

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