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AI活用を「新人」に押し付けてはいけないワケ「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/5 ページ)

AIを「若い人が使うもの」と思っている上司は危険だ。

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AI時代の仕事は3つに分類される

 AI時代を迎え、企業は採用戦略の大転換を迫られている。仕事は大きく3つに分類できる。

  1. AIに置換される仕事
  2. AIに“活用される”仕事
  3. AIを”活用する”仕事

 まず「AIに置換される」仕事は、データ入力や伝票処理、契約書のひな形作成などだ。定型的で反復的な業務は、AIやRPAが自動処理できるようになってきた。人の関与は最小限になるだろう。

 次に「AIに“活用される”仕事」は、データ分析、市場調査、マーケティング戦略立案、部下の評価などである。この領域が最も理解されにくい。なぜ「活用される」のか。それは主体がAIだからだ。

 例えば市場調査を考えてみよう。AIが膨大な市場データや顧客の購買履歴を分析し、トレンドや戦略の候補を提示する。マネジャーはその結果を確認し、最終判断を下す。この場合、AIの分析・提案が意思決定の出発点となる仕事をしていることになる。マネジャーはAIの判断を「承認する人」になっているのだ。

 部下の評価も同様だ。AIが業績データ、行動履歴、スキルマップなどから評価案を複数提示する。上司はその中から選択し、微調整するだけ。つまり人間は「AIに使われている」状態なのである。

 大事なのはプライドを捨てること、つまり自分が主役ではなく、AIが主役だと認めることだ。「市場のことは、AIより私のほうが分かっている」「部下の評価をAIなんかに頼れない」と考えていたら、この領域では通用しない。AIの判断を謙虚に受け入れ、その精度を信頼する姿勢が求められる。

 もちろんAIが生成したアウトプットをうのみにしてはならない。最終判断を下すのは人間である。したがって、検証するスキルと経験は不可欠だ。

 そして「AIを“活用する”仕事」は、アーティスト、カウンセラー、介護職、研究開発といった仕事だ。たとえば映画監督がAIを活用して、新しい視点を手に入れるなどが挙げられる。

 創造性、身体性、感情的共感が求められる領域では、人間が主体であり続ける。AIは参考資料を出せるが、新しい発想や場の空気を読む力は人間が担うのだ。

 このパターンだけは、AIに上から目線で接していい。人間が指示を出し、AIが従う関係だからである。

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