連載
なぜ人は「うまい話」に群がるのか――「みんなで大家さん」の高利回りは明らかに「持続不可能」だった(2/4 ページ)
年利6〜7%の「高利回り」と「元本割れなし」を信じた投資家たち。だが、その実態は資金の“付け替え”による延命だった。崩れた安全神話が示すのは、個人投資家の危うい「信じたい心理」だ。
異常な高利回りと「安全」の幻想
まず、「みんなで大家さん」が投資家に提示した年6〜7%という想定利回りは、「安全性の高い投資」にしては極めて高い数値であることを認識しておきたい。
日本銀行のマイナス金利政策がようやく解除されたとはいえ、市中の金利はいまだ1.6%程度だ。国債のようなリスクの低い安全な資産で大きなリターンを得ることはいまだ困難である。
投資の鉄則として、「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」という原則がある。
高いリターンを期待するならば、それ相応の高いリスク(元本割れの可能性)を受け入れなければならない。しかし「みんなで大家さん」は「元本割れなし」や「不動産評価額が下落しても、まず事業者の出資分が損失を吸収する」といった言葉で安全性を強くアピールしていた。
この「ローリスク・ハイリターン」をうたうかのような矛盾したメッセージこそ、投資家が最初に疑うべき危険信号であった。
年7%のリターンがもし安全に達成できるのであれば、名だたる金融機関がこぞってその事業に融資するはずであり、わざわざ個人投資家に向けて広告やCMに巨額の費用を投じて資金集めに頼る必要はない。
この単純な経済原則の見落としが、罠の入り口であった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。気になっていた質問をぶつけてみた。インタビュー後編。
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
企業にとって残業しない・させない文化の定着は不可欠だ。しかし――。
仕事が遅い部下に“あるテクニック”を教えたら、「チーム全体の残業時間」が3割減ったワケ
仕事の効率化や部下育成に悩む上司やリーダーは、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
新入社員「Web会議でカメラオンにする必要なくないですか?」 上司のあなたはどう答える?
「上司として、どう答えていいか分からなくて……」 ある大手製造業の部長から相談されたのは、不思議な話だった。
宮古島“観光バブル”の代償──倍増した家賃、住めなくなる地元民……変わりゆく現実
観光客が急増し、経済効果に沸く宮古島。しかしその裏では、人手不足や住宅難、地価高騰といった深刻な問題が島を覆う。急成長の光と影に迫る現地ルポ。