「こっちの方が正しい」「それは非効率だ」 対立するメンバーを、対話できるチームに変える方法(1/3 ページ)
仕事をしていて、同僚の発言に違和感を覚えたり、意見が合わずに衝突したりといった経験は誰しもあると思います。チーム内などで起こる衝突を乗り越えるにはどうすればいいのか? 今回の記事では、こうした意見の違いなどに端を発する「対立」に焦点を当て、その解決策を考えていきます。
本記事はグッドパッチブログ「デザイナーが考える『組織デザイン』(9):その対立、本当に単なる「意見の違い」ですか? チームの衝突を力に変える対話の作り方」の転載です。
こんにちは。グッドパッチでデザインストラテジスト兼ワークショップデザイナーとして活動している田中拓也です。私は仕事上、さまざまな企業の組織課題を目にしますが、突き詰めると悩むポイント(本質)は似ていることが多く、解決の糸口も共通するものになってきます。そこで「組織デザイン」のポイントを解説していくことにしました。今回は「チームの衝突」について取り上げます。
仕事をしていて、同僚の発言に違和感を覚えたり、意見が合わずに衝突したりといった経験は誰しもあると思います。
プロジェクトの中盤、チームの進行に少し陰りが見え始めていたころのことです。筆者はあるタスクをメンバーに依頼したのですが、その対応に違和感を覚えました。その理由を聞くと、返ってきた答えは筆者の想定と全くもの。いやいや、どう考えてもこっちが正しいでしょ──。
言いかけたときに気付きました。「正しい」と思い込んでいたのは、自分の方だったかもしれない、と。相手の意図や背景に関心を持たず、ただ「自分の方が正しい」と断定しようとしていた。コミュニケーションをしているようでしていない、単なる“評価”や“矯正”の押し付けになっていたというわけです。
チーム内などで起こる衝突を乗り越えるにはどうすればいいのか? 今回の記事では、こうした意見の違いなどに端を発する「対立」に焦点を当て、その解決策を考えていきたいと思います。
チーム内で起こる対立「3つのタイプ」
本題に入る前に「対立」そのものについて、少し説明をしようと思います。仕事における対立(コンフリクト)は、大きく次の3種類に分けられるといわれています。
(1)タスクコンフリクト:課題や目的に対する考え方や進め方の違いから生じる衝突
例:「この仕様にすべき」「いや、こっちの方がユーザーに刺さる」
(2)プロセスコンフリクト:仕事の割り当て方や役割、進め方、リソース配分といった「どうやって進めるか」に関する衝突
例:「なぜ自分ばかりが担当なのか?」「その進め方は非効率だ」
(3)リレーションシップコンフリクト:個人間の感情的な摩擦や誤解、人間関係に起因する衝突・対立
例:「あの人の態度が気に入らない」「もう一緒にやりたくない」
記事冒頭で挙げた例は、タスクの対応に関するすれ違い、つまりプロセスコンフリクトに当たります。事前に「なぜそうしたいのか」「何を大切にしているのか」という対話が足りていなかったからこそ、起きたすれ違いでした。
一般的に、タスクコンフリクトやプロセスコンフリクトは、適切に扱えばパフォーマンスの向上につながるとする研究もあります。しかし注意したいのは、これらも信頼関係がない場面では、すぐにリレーションシップコンフリクトに転じる可能性があるということです。
「この案件、進め方に問題あるよね」という発言が、いつの間にか「◯◯さんが悪い」という印象になってしまうこと、ありませんか? 本来ならば、課題や目標は誰か一人の責任に帰属するものではなく、「チームで向き合うべき問い」として外在化されるべきもの。無意識のうちに問題の所在がすり替わってしまうのです。
冒頭の例でも、一歩こじれたらリレーションシップコンフリクトになっていたかもしれません。関係性の準備が整っていない状態で、結果だけを合わせようすると思わぬ落とし穴が待っています。
とはいえ、どのコンフリクトも扱い方次第で力にも破壊にもなるのは事実。そのカギを握るのは、土台としての「関係性」と「対話の質」にあるといえるでしょう。
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