日立「Lumadaの中核人材」が副業でビール醸造 地域貢献がマネジメント力を育てた理由(3/3 ページ)
東京・大森の地域活動に参画し、ビール醸造に携わっている日立の斎藤岳さんだ。管理職をしながら副業に取り組んでいる理由や、副業が本業にもたらしている影響を、斎藤さんに聞いた。
副業が本業にもたらした影響 マネジメントに生きた?
――日立での部長職としてのマネジメント業務と、副業のビール醸造活動は、一見すると全く違う分野に思えます。ご自身の中でつながっている部分はありますか。
それはありますね。日立でやっている仕事は基本的にはB2Bの世界ですが、ビールの世界は完全にB2Cです。そこは大きく違います。分かりやすい例を挙げると、日立でビジネスの企画を立案して、実際にサービスを開発したとしても、成果が見えるのは数カ月後や1年後かもしれません。でもビールはサーブした瞬間に、顧客の反応が返ってきます。その期間の違いは非常に大きな違いです。おいしければお客さまの笑顔がすぐに見えますし、ダメなら逆に首をかしげられる可能性もあります。そのダイレクトさとスピード感は、私にとって新鮮な学びになっています。
ブルワリーの仲間と議論するときは、普段の日立のマネジャー目線とは逆で、私はできるだけファシリテートはせず、聞き役に回るようにしていることが多いです。一人一人のバックボーンや考え方が日立の社員とは全く違うので、「なるほど、そういう見方をするのか」と刺激を受けることが多いですね。自分はプレゼンや企画資料をまとめたり、言語化したりするところで貢献していますが、むしろ人の話を聞く姿勢を学ぶ場になっています。
この経験は、日立での本業にも役立っていると感じます。特に顧客へのプレゼンテーションでは、難解なことをいかに分かりやすく説明するかが重要です。Lumadaのように外から見ると分かりにくい概念をどう伝えるか。そこで副業のB2Cで得た「相手起点でシンプルに価値を伝える」感覚が生きていると思います。
自戒を込めてお話すると、われわれの資料はどうしても「自分たち側が言いたいこと」を詰め込みがちで、相手にとっては伝わらない、かつ膨大な物量になってしまうことが良くあります。しかし、ブルワリーでの経験から「なるべくシンプルに伝え切る」意識が強まりました。合意形成の仕方やプレゼン資料の作り方にも、よい影響が出ていると実感しています。
――副業での学びが、社内へのマネジメントに生きた点はありますか。
想像力と柔軟性が鍛えられました。過去の経験値頼みの意思決定を、極力避けられるようになりましたね。以前は自分の成功体験に多くの判断が引っ張られがちでしたが、今は他者のやり方に委ねるほうが良い場面では躊躇(ちゅうちょ)なく任せられます。状況をニュートラルに見極める癖が付きましたね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
日立、フィジカルAIに注力 「Lumada3.0」で社会インフラ業務を変革
日立製作所が「世界トップのフィジカルAIの使い手」を目指す――。 執行役常務 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニットCEOの細矢良智氏は「それぞれの領域で培ってきた取り組みがドメインナレッジとなり、それをフィジカルAI、エージェンティックAIとつなげることで、これまでにない力を発揮すると考えています」と話した。
日立「モノづくり実習」に潜入! 新人データサイエンティストの製造現場「奮闘記」
日立製作所が2021年から展開している新人研修プログラム「モノづくり実習」。実際に実習に参加した新進気鋭のデータサイエンティスト2人に聞いた。
日立流・データサイエンティスト育成法 工場に派遣、“泥臭い”研修の手応えは?
日立製作所は、データサイエンティストを対象とした新人研修プログラム「モノづくり実習」を2021年から展開している。狙いは何か。現場はどう変わったのか。日立の担当者に聞いた。
日立が「1兆円買収」した米ITトップを直撃 日本企業の“根本的課題”とは?
日立の執行役常務と、デジタルエンジニアリングビジネスユニット(BU)のCEOも務めるGlobalLogic社長兼CEOのニテッシュ・バンガ氏に、日立との統合がシナジーをもたらした要因や、日本市場の展望について聞いた。
日立、米IT「1兆円買収」でどう変身? 文化の違いを“シナジー”に変えた手腕
「シリーズ 企業革新」日立編の4回目は、Lumada事業をさらに成長させている取り組みとして、2021年に約1兆円を投じて話題になった米GlobalLogic買収のその後に迫る。
日立の好業績を牽引する“巨大事業”の正体 日立デジタルCEOに聞く
日立は2009年当時、日本の製造業で過去最大の赤字だった状況から再成長を果たした。復活のカギとなった巨大事業、Lumadaのビジネスモデルとは――。日立デジタルの谷口潤CEOにインタビューした。
27万人の巨艦・日立はいかにしてDXを成功させたのか “知られざる変革劇”に迫る
日立のV字回復を支えたコスト構造改革とDXは、いかにして進められたのか。その裏側を、スマトラプロジェクトで中心的な役割を担った冨田幸宏・DX戦略推進部部長に聞く。
日立、生成AIで「ノウハウ属人化」に終止符 仕組みは?
日立製作所は4月24日、企業の実務に必要なノウハウの継承と定着を支援する「ノウハウ視える化・継承ソリューション」の提供を開始した。
