「管理職=罰ゲーム」とならないために 次世代リーダー育成に必要な「逆転の発想」とは?(1/2 ページ)
近年、管理職への昇進を望まず、専門職としてのキャリアを志向する優秀な若手社員が増加している。彼ら・彼女らが管理職を敬遠する理由は「管理職が『罰ゲーム』と見なされているからだ」と社員教育や採用支援を手掛けるジェイックの近藤浩充氏は指摘する。罰ゲーム化する管理職の現状と原因を分析し、これからの管理職育成に必要な考え方を解説する。
本記事の内容は、ブティックス(東京都港区)が8月19〜22日に開催した「バックオフィスDXPO東京’25【夏】」内で実施されたセミナー「管理職の罰ゲーム化を防げ!次世代リーダー育成のために経営・人事がとるべきアプローチ」の内容を要約したものです。
近年、管理職への昇進を望まず、専門職としてのキャリアを志向する優秀な若手社員が増加している。彼ら・彼女らが管理職を敬遠する理由は「管理職が『罰ゲーム』と見なされているからだ」と社員教育や採用支援を手掛けるジェイックの近藤浩充氏は指摘する。罰ゲーム化する管理職の現状と原因を分析し、これからの管理職育成に必要な考え方を解説する。
管理職育成に必要な「逆転の発想」
優秀な若手社員は、なぜ管理職になりたくないのか。近藤氏は「負担が大きく見返りが少ない」「責任だけが重い」「プレーヤーとしての活躍の場が減る」といった理由を挙げる。2025年以降の大量退職時代を前に、近藤氏は「管理職の成り手不足は企業の持続可能性を脅かす重大な経営課題だ」と警鐘を鳴らす。
加えて、近藤氏は「『期待の星』だったはずの優秀な社員が管理職になると失敗するケース」も指摘する。なぜ優秀な社員が管理職になるとつまずくのか。それには4つの原因がある。
1つ目が経験・知識の不足だ。管理職として必要なスキルを習得する機会が提供されないため、過去に自身が受けたマネジメントをそのまま部下にも行ってしまう。しかし、過去のマネジメントは、価値観が異なる若手に通用しないケースが多い。2つ目がプレーヤー業務との板挟みだ。チームの数字の不足分を自身で埋めるなどプレイングマネジャー化してしまい、マネジメントの時間を確保できず、結果としてマネジメントが放棄されがちになる。
3つ目が価値観の多様化だ。部下の価値観や動機付けが多様化し、これまでの一律マネジメントでは対応できない。4つ目が役割の急激な拡大だ。管理職としての経験や知識がないにもかかわらず、急に「部下の育成」という重要な役割を求められ、負担が急増している。
こうした中、「従来型の管理職育成は限界だ」と近藤氏。「管理職へのアンケート調査によると、この10年で、求められるマネジメントスタイルは『管理・統制型』から『共創・支援型』へと変化している。従来のKPI管理中心の数値マネジメント力に加え、部下を主体的に動かし、やりがいやエンゲージメントを高める『人的マネジメント力』を身に付けることが急務だ」(近藤氏)
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