顧客のメールにAIが返信実行、任せて本当に大丈夫? Gmailでもやらないことを国産法務テックがやるワケ:「下書き止まり」ではない(1/4 ページ)
AIが間違った情報を送ったらどうなるのか。不適切な表現で顧客を怒らせたら――? 営業の現場でAIは本当に人間の代わりを務められるのか。LegalOn Technologiesに取材した。
筆者プロフィール:斎藤健二
金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。
顧客から寄せられる質問は、「製品の機能」「価格」「導入方法」など多岐にわたる。そして、営業担当が書くメールの内容はいつも同じだ。法務テック大手LegalOn Technologiesの角田望社長は、自ら営業メールを書きながら、この作業に疑問を抱いた。「同じことを何度も書いている。これは本質的に人間がやるべき仕事なのか」。1日に何通も似たようなメールを書き続ける光景は、どの企業でも日常的に見られる。
だが、その「当たり前」にAIで挑む企業が現れた。同社が11月から提供を始める営業支援サービス「DealOn」は、顧客からのメールにAIが自動で返信する。下書きではない。人間の確認を経ずに、AIが直接顧客へメールを送る。
顧客との大切なコミュニケーションをAIに任せて本当に大丈夫なのか。同社には、その答えがある。自社の営業部門で7月から先行利用し、7割以上のメールで人の修正が不要だったという実績だ。「製品情報や価格の問い合わせなら、もう人がやる必要はない」。事業責任者の吉田晋氏はそう断言する。
しかし、疑問は残る。AIが間違った情報を送ったら、どうなるのか? 不適切な表現で顧客を怒らせたら?
DealOn メール自動返信機能の流れ。AIが自動返信する際、営業担当者は必ずCCに入る仕組みになっている。これにより、AIが顧客に何を伝えたかを営業担当が把握でき、必要に応じてフォローできる。同社は「AIに丸投げ」ではなく、人間による監視体制を重視している
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