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オンライン会議中に宅配を受け取る新入社員 叱っていいのか、悪いのか?:「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/5 ページ)
何度も続くと気になってくるし、客先での商談となると話も変わってくる。
叱るのではなく「線を引く」
この問題は、叱るか叱らないかではなく、「どこに線を引くか」の話だ。
企業として明文化していない状態で「それはダメ」と言うのは難しい。労務上、そこまで強制できないようだ。
そのため「会議中はオフィス会議と同じマナーを適用する」と明文化すれば、注意してもルールに基づいた正当な指導と見なされる。
実際、厚生労働省のテレワークモデル就業規則でも「勤務時間中は業務に専念すること」と明記されている。会議中の宅配受け取りを控えるよう求めるのは、この「業務専念義務」の延長線上にあると言えよう。
一方で、どうしても避けられない場合は「事前連絡をすれば例外として認める」という柔軟な運用を加えてはどうか。
新人教育の本質は「叱責」ではなく「理解」
大事なことは、この新入社員に悪意がないことだ。だからこそ上司からの啓蒙、教育が必要なのだ。叱るのではなく、なぜそれが問題なのかを「チームの視点」でしっかりと理解してもらおう。
オフィスなら自然に身につくマナーも、在宅では誰も教えてくれない。上司の役割は「叱ること」ではなく「線を引くこと」である。
その線が明確であれば、若手は迷わず行動でき、チーム全体の信頼も深まる。
「これぐらい常識だろう」と思い込むのではなく、「もしかしたら知らないかもしれない」と考えること。そのうえで丁寧に説明し、理解を促す。これが現代の上司に求められる姿勢なのだ。
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