なぜ、運転がワクワクする音になるのか? ヤマハ3輪EV“音づくりの秘密”に迫る:インタビュー劇場(不定期公演)(2/5 ページ)
ジャパンモビリティショーで、ヤマハの3輪EV「TRICERA proto(トライセラ プロト)」が登場した。3輪手動操舵(3WS)の特徴とは何か。エンジン音の開発に携わる担当者に話を聞き、音の奥深さに迫った。
コーナーはキビキビ曲がる
土肥: いやはや、なんとも近未来なクルマを開発しましたね。4輪でも2輪でもなく、3輪のオープンカーで、前輪が2つ、後輪が1つの構造。そもそも、どうしてこの形のクルマを開発することになったのでしょうか?
宮本: 2019年、社内で「3輪で楽しい乗り物をつくろう」という話になりまして、実際につくってみると「運転するのが楽しい」「面白い」といった声が多かったんですよね。で、そこから少しずつ開発を進めていって、コンセプトモデルを発表しました。
ただ、一般的なクルマと違って、操縦がやや複雑なんですよね。特に、後輪も左右に動かせるので、ドライバーは運転技術を磨かなければいけません。そんな過程も楽しめるクルマが完成したかなと思っています。
土肥: 前輪だけ動かす「FF(フロント操舵)」と、前後輪を動かす「3WS(3輪手動操舵)」という方式がありますよね。後輪を動かす場合、オートとマニュアルがありますが、どのような違いがありますか?
宮本: 運転席の正面にメーターがあって、その左隣にボタンがあります。「オート」「マニュアル」のボタンがあるので、停車中に切り替えられるんですよね。オートの場合、運転が楽しくなるように設計していて、いわば“つくり込まれた”運転を体験できます。
ただ、運転の楽しさって一人ひとり違いますよね。「自分の好みで運転したい」といった人向けに、マニュアルを設けました。オートの場合は、ハンドルを回すと、前輪も後輪も動く。一方、マニュアルの場合は、ドライバーの手元に金色のレバーがあるので、それを押し込んだ量に応じて、後輪の角度が変わる。ちなみに、後輪の角度は、最大15度ほどですね。
土肥: このクルマは実際に運転できないので、映像での印象になりますが、3輪でも安定した感じですね。あと、やはりというか、コーナーはものすごくコンパクトに曲がります。
宮本: ハンドルを切ると、瞬時にクルマが動いてくれる。「自分の意思でクルマを動かしている」といった感覚を覚えるのではないでしょうか。
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