インタビュー
仕事のやらされ感、「年収・学歴」より幸福度に直結 “転職せず”に環境を変える方法とは(3/3 ページ)
従業員エンゲージメントの停滞を打破する鍵として、仕事の境界や意味を自ら再設計する「ジョブ・クラフティング」が注目されている。その方法と、実現に不可欠な条件とは。
成功の鍵は上司・チームとの協同
ジョブ・クラフティングを組織に広げるには、従業員の努力だけでは不十分である。上司や同僚の理解と協力が不可欠だ。池田氏の調査では、「相談相手がいる従業員」ほどジョブ・クラフティングの実践度が高いことが示された。
一方で「ジョブ・クラフティングは“一人前”になってから行うべき」という価値観が、若手の工夫を阻害する現状もある。しかし、上司自身が生き生きとジョブ・クラフティングをしている職場では、その姿勢が部下にも伝わると池田氏は強調する。
ジョブ・クラフティングの成果としては「パフォーマンス向上」「ウェルビーイング向上」「他者支援行動の増加」などが科学的に確認されている。一人のパフォーマンスがジョブ・クラフティングによって向上すると、他者の仕事が楽になることがある。このように、組織全体の利益に直結する取り組みとして理解されることが重要だ。
ジョブ・クラフティングは、従業員が転職せずに「自分らしいやりがい」と「高い成果」を両立させる手法だ。池田氏は、多様性が増し従来施策が“刺さりにくい”時代だからこそ、「個人に合わせてカスタムできる」ジョブ・クラフティングが重要だと結論づける。従業員が主体的に仕事へ向き合える環境づくりこそ、硬直化したエンゲージメントを動かし、企業価値向上の鍵となるかもしれない。
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