【26年1月から】下請法の改正目前 主な変更点5つと、企業が今すぐできる準備2つ 社労士が解説(2/3 ページ)
改正下請法が2026年1月1日に施行され、規制内容の追加や規制対象が拡大されます。今回の改正で特に重要なのが「従業員数」の扱いです。一言に従業員数といっても、どこまで含めるのか、どの時点で算出するのか、どうやって確認するのかなど、困る担当者も多いと思います。改正を目前に控えた今、企業がとるべき対策について解説します。
主な改正点は5つ
それでは今回の法改正で名称以外に何が変わったのでしょうか? 主な変更点は次の5つです。
(1)対象取引に「特定運送委託」を追加
運送業務の委託は、運送業務を再委託する場合を除き、下請法の対象外となっていましたが、対象にすべきという声もありました。こうした意見を反映して、適用対象となる取引に、製造などの目的物の引き渡しに必要な運送の委託が追加されます。
(2)適用基準に「従業員基準」を追加
従来の資本金基準に加え、従業員基準(300人または100人)が追加され、規制及および保護の対象が拡充されます。
(3)協議に応じない一方的な「代金決定」を禁止
代金に関する協議に応じない、必要な説明を行わないなどの発注側による一方的な代金決定が禁止されます
(4)「手形払い」の禁止と振込手数料の負担に係る運用変更
手形払いが禁止されるとともに、電子記録債権などのその他の支払手段についても、支払期日までに代金相当額満額を得ることが困難なものが禁止されます。また、発注者が下請事業者に代金を支払う際、振込手数料分を引いて支払う行為を禁止しました。
(5)事業所管省庁の主務大臣に指導・助言権限を付与
委託事業者(発注者)の違反行為の摘発や是正が強化されます。受託事業者(下請事業者)が申告しやすい環境を確保するため、報復措置の禁止の申告先として、現行の公正取引委員会および中小企業庁長官に加え、事業所管省庁の主務大臣を追加します。
最も大きな変更点は、従業員数の導入
今回の改正で最も大きな変更は、委託事業者(発注事業者)と受託事業主(下請事業者)の判断基準として資本金に加え、常時する従業員数が導入されたことです。
下請法の適用を逃れるため、発注者が資本金の減資を行ったり、下請事業者に対して増資を要求したりするケースがありました。こうした課題を解決するため、事業規模と密接に結びついている従業員数を新たな基準として導入しました。
ただ常時する従業員とは、耳慣れない言葉なので、どのように算出すればよいのか困惑する企業の担当者もいるかもしれません。
常時する従業員は、正社員、パート社員、嘱託社員などの職種を問わず会社が雇用している従業員の総数で算出方法されます。原則として賃金台帳に記載されている従業員数となりますが、日々雇い入れられる者は除きます。
なお、委託する内容によって適用される人数が異なります。製造や修理を委託する場合は、発注側の従業員数が300人超、下請事業者が300人以下であれば適用されます。ソフトウェアなどの情報成果物作成や役務提供委託の場合は、 発注側が100人超、下請事業者が100人以下であれば適用されます。
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