“お得自慢”がステータスになった? 100万人が選んだ「dカード PLATINUM」の裏側:「ポイント経済圏」定点観測(7/7 ページ)
プラチナカードの価値は「ステータス」から「お得さ」へ――。dカード PLATINUMが100万会員を突破した背景には、還元率を誇る価値観の変化があった。コンシェルジュを捨て、実利に振り切った設計思想を追う。
銀行・証券との融合へ
dカード PLATINUMは、ドコモの金融戦略における入口に過ぎない。江藤氏が見据えるのは、銀行・証券・ローンを組み合わせた総合金融サービスである。
「金融サービスは、お客さまとの接点が希薄になりやすい。保険に入っても考えるのは年に1回、NISAも毎日店頭に行くわけではない。だが、銀行とカードは日常的に付き合いのある商材だ」
日常的な接点を持てる銀行とカードを軸に、証券やローンをクロスセルしていく。これがドコモの基本戦略である。
その中核となるのが、2025年10月に連結子会社化した住信SBIネット銀行だ。個人口座数は約900万。江藤氏は「ドコモのお客さまを送客し、1.5倍から2倍に増やしたい。楽天銀行にキャッチアップしていく」と意気込む。
江藤氏が語った将来像は、銀行とカードの融合である。「銀行口座を開いた方には、漏れなくdカードが付いてくる、あるいはdカードのお客さんが住信SBIネット銀行を使うと特典がもらえる。そうした構想を描いている」。三井住友フィナンシャルグループが「Olive」で実現した銀行・カード一体型サービスを意識した発言といえる。
既にマネックス証券との連携でNISA積立のポイント還元を実現し、旧オリックス・クレジットを母体とするドコモファイナンスでは、無担保ローンが好調だ。「楽天銀行スーパーローンの貸出残高に肉薄する数字になりそうだ」と江藤氏は明かす。
楽天、au、PayPay――経済圏競争の相手は明確だ。「どんなサービスを展開しているか、何を押しているか、常に動向を見ている」と江藤氏は語る。
プラチナカードの価値とは何か。かつての答えは「ステータス」だった。だがdカード PLATINUMが示したのは、「還元率こそがプラチナだ」という新たな定義である。100万人がその価値観に賛同した。プレミアムカード市場の地殻変動は、すでに始まっている。
筆者プロフィール:斎藤健二
金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。
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