ジャングリアの「刀」累積損失62億円の衝撃 イマーシブ・フォート東京撤退で露呈した“死角”(4/4 ページ)
USJを再建した森岡毅氏率いる「刀」が、かつてない危機に直面している。官報で判明した62億円の累積損失と、わずか2年での旗艦施設閉園。数学的マーケティングはなぜ「自社事業」で躓いたのか。その背景と沖縄事業への懸念を分析する。
クールジャパン機構の公的資金リスクと沖縄への懸念
刀の経営状況は、もはや一民間企業の範疇(はんちゅう)を超え、国策投資の是非が問われる事態へと発展している。刀が沖縄県北部で進めるテーマパークプロジェクト「JUNGLIA(ジャングリア)」には、官民ファンドのクールジャパン機構が80億円規模の出資を決定しているからだ。
これまで同機構は、数々の案件で巨額の損失を出し、組織の存続意義が厳しく問われてきた経緯がある。刀本体が旗艦プロジェクトをわずか2年で閉鎖させた今、出資の妥当性が再び批判の矢面に立たされる可能性がある。
ジャングリア事業の成否は、刀にとって再起を懸けた一戦であると同時に、国民に対する説明責任を伴う公共性の高い課題となった。万が一、沖縄での立ち上げに失敗すれば、刀の信用失墜のみならず、政府のクールジャパン政策への致命的な打撃となる。
森岡氏が提唱してきた数学的マーケティングは、既存の需要を最適化し、確率論的に勝算を高める手法として一定の成果を上げてきた。しかし、今回の撤退が示したのは、いかに理論が優れていても、出発点となる事業規模や条件が整っていなければ、経済全体に与えるインパクトは小粒にとどまるということだ。
特に今後の主戦場となる沖縄事業においては、台風や酷暑といった気象リスク、インフラの脆弱(ぜいじゃく)性など、都市型のUSJでは考慮に値しなかった負の変数が重くのしかかる。
USJでの成功が、特定の環境下でのみ機能する「条件付きの奇跡」であったのか、それとも真に汎用(はんよう)性のある「科学」であったのか。2026年は刀にとって、市場や消費者から冷徹な審判が下される正念場となるだろう。
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