ジャングリアの「刀」累積損失62億円の衝撃 イマーシブ・フォート東京撤退で露呈した“死角”(3/4 ページ)
USJを再建した森岡毅氏率いる「刀」が、かつてない危機に直面している。官報で判明した62億円の累積損失と、わずか2年での旗艦施設閉園。数学的マーケティングはなぜ「自社事業」で躓いたのか。その背景と沖縄事業への懸念を分析する。
「大きな箱」と「没入体験」の経済的不合理
イマーシブ・フォート東京の閉園決定は、集客不足に加えて、ビジネスモデルそのものに経済的合理性が欠けていた可能性がある。同施設が採用した「没入型体験(イマーシブ)」は、顧客一人一人に深い体験を提供する性質上、一度に参加できる客数は施設の物理的な上限を大きく下回ることになる。
しかし、同施設が立地した旧ヴィーナスフォート跡地は巨大な商業施設であり、莫大(ばくだい)な賃料が発生する。この高い固定費を回収するためには、回転率(スループット)の低さを補う高単価設定が必要となる。
結果としてチケット価格は、時には1万円を超える水準となった。
また年齢制限が厳しく、多くのテーマが未就学児を対象としていないことも、ファミリー層が避ける要因となった。筆者も実際に同施設で「シャーロック・ホームズ」をテーマにした謎解きプログラムに参加したことがある。
登場人物から直接声をかけられるなどの没入体験には独自の価値があり、満足度は高かった。約3000平方メートルという広さに対して、入場上限が180人に設定されている点には違和感を覚えた。
利用者目線では混雑が少なく喜ばしいが、ビジネスの観点で見れば、小学校の体育館3〜4個分に相当するスペースに180人しか入れない状況で、高額な賃料を回収できるのか疑問を抱かざるを得なかった。
「大きな箱」と「少人数の没入体験」という矛盾が、今回の撤退につながったといえる。
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