サイゼリヤ「値上げしないのに」増収増益、なぜ? インフレ下で客単価が上がるカラクリ(1/4 ページ)
値上げが常識となったインフレ下で、価格を据え置きながら増収増益を続けるサイゼリヤ。実質賃金の逆転現象や「心の会計」が生む客単価上昇の仕組みを解き明かし、マクドナルドとの明暗を分けた要因に迫る。
筆者プロフィール:古田拓也 株式会社X Capital 1級FP技能士
FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックスタートアップにて金融商品取引業者の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、広告DX会社を創業。サム・アルトマン氏創立のWorld財団における日本コミュニティスペシャリストを経て株式会社X Capitalへ参画。
原材料費の高騰やエネルギー価格の高止まりを受け、多くの外食チェーンが「適切な価格転嫁」という名の下で値上げに踏み切っている。一方で、消費者の実質賃金はマイナス圏で推移し、生活防衛意識は一層強まっている。
こうした飲食業界にとって過酷な環境下で、異彩を放っているのがイタリアンファミリーレストラン「サイゼリヤ」だ。同社の株価は上場来高値を更新し、業績も2023年8月期から連続で増収増益を続けている。
かつて市場関係者はサイゼリヤを「デフレ企業」とみなしていた。しかしインフレ局面に入った現在、同社の存在感はむしろ高まっている。
一般にインフレ下で企業が収益性を維持するには値上げが不可欠とされる。教科書的には、コスト増を価格に転嫁できる「価格決定力」を持つ企業こそが優良企業とされてきた。しかし、サイゼリヤが提示している戦略は、その定石と真っ向から対立するものだ。
コストが高騰する中で値上げを凍結しながら、なぜ同社は利益を積み上げ、さらには客単価まで引き上げているのか。その「底力」をひもとくと、緻密に計算された経済合理性と消費者心理の変化が浮かび上がる。
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