サンリオ株価、まさかの「ほぼ半値」に……なぜ? ジャパンIPに降りかかった災難の正体(3/3 ページ)
今もなお業績を伸ばしているはずのサンリオ株が、前年の最高値から半値近い水準まで売り込まれている。これはなぜだろうか。決算資料や各地の市場動向を詳細に読み解けば、株式市場の評価とは乖離した実態が浮き彫りになる。
嵐が過ぎ去った後の景色は?
ちなみにサンリオの株価下落については、日本銀行が推し進める「利上げ」の影響もないわけではない。現在、30年物の日本国債における年利回りは3.6〜3.8%台で推移している。投資家の視点に立つと「わざわざリスクをとって一般的に年間の期待収益率が5〜8%の株に投資しなくても、国債で3.7%ももらえるならば株を売って債券に乗り換えよう」といった力学が働く。
しかし、本当に利上げのような日本におけるカントリーリスクが要因なのであれば、サンリオの株価動向が中国企業のポップマートと一致することとは矛盾する。従って、サンリオは上記のようなマクロ経済要因も重しとなりつつ、ポップマートの株価に連れ安しているという、二重の負荷がかかっていると解釈する方が妥当だ。
サンリオとポップマートの違いが市場関係者に認知されてくればその負荷も軽減されると考えられる。両社の決定的な違いは、ブランドの「歴史の深さ」だ。
ポップマートのラブブが世界的に底堅いIPであることは確かだが、「塩化ビニール製のかわいらしいドール」というカテゴリとしての認知度はあるものの、ラブブのキャラクターがどのような背景を持ったキャラクターであるかを語れる人は少ないだろう。
その結果、ライバルは著作権に抵触するリスクがある「ラブブのキャラクターそのもの」を模倣する必要はなく、あくまで「ラブブのようなドール」を投入することで、堂々と参入できたわけだ。
これに対し、ハローキティやシナモロールなどをはじめとしたサンリオのIPは、50年にわたって物語や世界観を積み重ね、消費者の生活の一部として定着してきたストック型の存在である。
この構造的優位性こそが、一過性ブームの狭間において、サンリオの屋台骨を支えている。海外企業の不調や日本のマクロ経済といった嵐が過ぎ去った後、サンリオは真のグローバルIP企業として君臨し続けていることだろう。
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