“偶然”知り合った人物が実はスパイだった 日本企業の社員を狙うスパイの実態:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
日本企業に勤務していた男性が、ロシアのスパイに社内資料を渡していたとして書類送検された。スパイは巧みに近付いてくるため、誰でも巻き込まれる可能性がある。今回も、これまでに明らかになっている手口と似た方法で、日本人から情報を入手していた。
ロシアのスパイとは、どういう人なのか
どちらの事件にも出てくるロシアのスパイとは、どういう人たちなのか。いずれもロシアの通商代表部に所属している。通商代表部とは、ロシアの経済、貿易、投資面における日本での窓口で、大使館とは別のところに拠点を置いている。
日本の情報当局関係者によれば「通商代表部には外交官の肩書を持つ者が3人在籍している。代表と、副代表2人だ。そして、副代表のうちの1人はずっとSVR(ロシア対外情報庁)のスパイのためのポストとなっている」という。
CIA(米中央情報局)の元幹部は、筆者の取材に対し「経済スパイは新しいものではない。人類の歴史と同じくらい古いものだ。冷戦時代のロシアのKGB(ソ連国家保安委員会)は、ソ連が技術的に西側諸国に追いつくことはできないと判断し、『ラインX』と呼ぶ情報収集計画を実行するようになった。当時はコンピュータやそれに関連する技術を盗む工作をやっていた」と語る。
通商代表部の副代表として来日するSVRのスパイたちは、今も「ラインX」の担当で、先端技術を奪うことを目的にスパイ工作を行っている。今回の事件もソフトバンクのケースも、どちらも相手は通商代表部所属のSVRスパイでラインX担当だった。
事件に関与した通商代表部副代表はすでに帰国している。日本政府は外務省を通じて、在日ロシア大使館に出頭を要請しているというが、当然、出頭するわけがない。このスパイは外交官の身分で日本にいたため、ウィーン条約で定められている不逮捕特権があるからだ。
そして、これまでの例にならえば、今空席になっている通商代表部副代表のポストには、近い将来、別のSVRスパイが赴任してくることになる。これまでも同じことが繰り返されており、それほど日本はロシアから“なめられている”のである。
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