「即レスこそ正義」は危険 “シゴデキ風”上司の仕事が終わらないワケ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/5 ページ)
この課長は決して仕事が遅いわけではない。「すぐやろう!」が口癖で、何か頼まれると即座に動き出す。それなのに、なぜか仕事が片付かないのだ。
「後入れ先出し」が問題を山積みにする
物事の処理手順をあらわす言葉に「LIFO(Last In, First Out)」と「FIFO(First In, First Out)」がある。LIFOは後に入ったものから先に処理する方法。FIFOは先に入ったものから先に処理する方法だ。
ホテルのポーター業務で考えてみよう。お客さまから「A」という荷物を預かったとする。この荷物が大きく、「A-1」「A-2」「A-3」と3回に分けて運ぶ必要があるとしよう。
「A-1」を運んだ後、別のお客さまから「B」の荷物を頼まれた。このとき、まず「A」を完了させてから「B」に取りかかる。これがFIFO思考である。
ところがLIFO思考の人は違う。「A-2」「A-3」が残っているのに「B」を運び始める。「B」の途中で「C」を頼まれると、また「C」に飛びつく。こうして「A-2」「A-3」「C-2」「D-2」……と、中途半端な仕事がどんどんたまっていくのだ。
なぜLIFO思考に陥ってしまうのか?
ではなぜ、優秀なはずのマネジャーがLIFO思考に陥ってしまうのか。理由は大きく3つある。
- 「即レス文化」の影響
- 目の前の人を優先する心理
- 完了させる快感を知らない
それでは、一つ一つ解説していこう。
1つ目は「即レス文化」の影響だ。
ビジネスの現場では、素早い対応が評価される傾向にある。メールが来たらすぐ返す。依頼が来たらすぐ動く。この姿勢自体は悪くない。しかし「すぐ対応すること」と「すぐ着手すること」は別物である。この区別がついていないマネジャーは、新しい依頼が来るたびに今の仕事を放り出してしまう。
2つ目は「目の前の人を優先する心理」である。
部下が相談に来た。上司から電話がかかってきた。クライアントからクレームが入った。目の前に人がいると、どうしてもそちらを優先したくなる。これは人間として自然な反応だ。だが、この心理に振り回されると、計画的に仕事を進めることができなくなる。
3つ目は「完了させる快感を知らない」ことだ。
実は、仕事を最後までやり遂げたときの達成感は、新しい仕事に着手したときの高揚感よりもずっと大きい。ところがLIFO思考のマネジャーは、この達成感を味わう機会が少ない。いつも中途半端なまま次に移るからだ。完了の快感を知らないから、ますます「着手」ばかりを繰り返すようになる。悪循環である。
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