トヨタ「RAV4」はなぜ売れているのか “トレンドの変化”に応じた巧みな商品戦略:高根英幸 「クルマのミライ」(4/6 ページ)
トヨタの人気SUV、RAV4には、同社の挑戦の歴史が詰まっている。3ドアのコンパクト車から始まり、ニーズに合わせてボディを拡大。5代目からは再び日本でも販売し、人気車種になった。新型モデルも受注を停止するほどの人気で、収益に貢献するだろう。
モデルチェンジを経てボディがどんどん拡大
2代目モデルでは、5ドアがメインとなったことで車幅も増えて上級感は高まったが、初代モデルのような意欲的な姿勢は和らいだ。これはメーカーの狙いとユーザーのニーズがシンクロし始めたからであり、こうした変化がSUV市場の熟成につながっていったともいえる。
3代目では3ドアは廃止され、ボディサイズを大きく拡大。北米市場では人気のあった初代の3ドアモデルも、3ドアだから人気だったのではなく、3ドアでも不満が少なかっただけのようで、ユーザーのニーズは変化して5ドアが主流となった。さらに5ドアでも地域によってニーズが異なると判断すれば、リアのオーバーハングを延長したモデルを設定して、より実用性を高めた。
2005年に登場した3代目RAV4。5ドアのみの設定となり、海外ではロングボディの3列シートも用意。ヘッドライト周りなどに初代からのテイストが受け継がれており、クロスオーバーらしい印象が残る(写真:トヨタ)
日本国内でも3列シートのSUVが発展途上の時代だった。RAV4はネッツ店の専売となり、カローラ店ではクルーガーが販売され、後に3列シートを備えたロングボディのヴァンガードへと置き換わる。
しかし、ライトミニバンなど、サイズが小さい3列シートのクルマが出てきたことで、一定の需要をカバーできるようになった。するとユーザーはミニバンカテゴリーへとシフトしていったのだ。
4代目のRAV4は海外専用モデルとなり、ボディサイズをさらに拡大。それまで乗用車のようなテイストを漂わせていたが、このモデルからはオフロードテイストが強まっていく。各社のSUVが増えていく中で、どこも差別化を図るべく、力強いワイルドな印象をデザインに盛り込んだ。
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