トヨタ「RAV4」はなぜ売れているのか “トレンドの変化”に応じた巧みな商品戦略:高根英幸 「クルマのミライ」(5/6 ページ)
トヨタの人気SUV、RAV4には、同社の挑戦の歴史が詰まっている。3ドアのコンパクト車から始まり、ニーズに合わせてボディを拡大。5代目からは再び日本でも販売し、人気車種になった。新型モデルも受注を停止するほどの人気で、収益に貢献するだろう。
5代目で日本に凱旋、一気に人気モデルに
日本でのSUV需要が高まり、幅広いユーザーに選ばれるようになると、トヨタグループ内でもより多くのバリエーションのSUVが望まれるようになった。そして、RAV4は5代目で凱旋(がいせん)することになった。
日本でも、この20年で乗用車のボディサイズが全体的に拡大。それに伴ってSUVもよりボディが大きいものが受け入れられるようになった。また、北米で人気のRAV4も、ボディサイズの拡大傾向は抑えられつつあり、日本市場でも通用すると判断されたのだ。その結果、昨今のアウトドアブームもあって、日本で一気に人気が爆発した。
2025年まで販売されていた5代目RAV4。それまでの都会的なイメージから一変し、オフローダー的な雰囲気を高めている。悪路走破性も高いが、ランドクルーザーのような本格的オフローダーではなく、舗装路での快適性や燃費性能も高いことが人気の理由(写真:トヨタ)
これはトヨタの限定車設定によるところも大きい。通常グレードに加えて、よりオフロードテイストを強めたアドベンチャーグレードを設定。さらに、オフロードパッケージという限定車を用意した。これがオフローダーテイストを求めるユーザーに刺さったのである。
さらにトヨタには、伝家の宝刀「THS(トヨタハイブリッドシステム)」がある。オフローダーテイストのデザインと大柄な車体、何でも積み込める実用性を兼ね備えた上で、燃費性能も高いのだから、ランドクルーザーほどの本格オフローダーが欲しい人以外には魅力的に映ったことだろう。
一回り小さなSUVのカローラクロスも、コストパフォーマンスが高いモデルとして人気だ。だが、こちらはカローラブランドらしい都会的な落ち着いたテイストに仕立てられており、うまくすみ分けている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「残クレアルファード」はこうして広まった マイルドヤンキーとトヨタの“最適解”
トヨタの高級ミニバン、アルファードが人気を維持している。当初から突出して人気だったのではなく、3代目モデルのインパクトのある顔つきでヒットした。さらに、残価設定クレジットによって地方の若者にも手が届くようになり、長期的な人気につながっている。
スマホの「ながら運転」をどうやめさせるか カーナビの功罪とメーカーの対策
運転中のスマホなどの使用による死亡・重傷事故は増加しており、問題になっている。ながら運転をさせないために、ドライバー監視システムなどを普及させるとともに、運転中にスマホを使えなくすることも検討すべきだ。官民で対策を強化しなければならない。
クルマの正月飾りはなぜ廃れたのか 季節感が薄れた時代のクルマ文化
正月飾りを付けているクルマをほとんど見かけなくなった。車両構造やデザインの進化に加え、人々の価値観や宗教観の変化も大きい。新車の初売りやカー用品のラインアップにも変化があり、季節感はどんどん薄れている。
BYDの軽EVは日本で売れるのか 苦戦が予想される“これだけの理由”
中国のBYDが日本で軽自動車のEVを投入すると話題になっている。しかし、日本で売れるのかは微妙だ。その背景には、モノづくりに対する根本的な考え方の違いがある。品質に対する姿勢が従来と変わらないなら、日本ではあまり受け入れられないだろう。
EVは本当に普及するのか? 日産サクラの「誤算」と消費者の「不安」
日産の軽EV、サクラの販売が伸び悩んでいる。EVは充電の利便性に課題があることに加え、リセールバリューの低さが問題だ。ならばPHEVだ、という傾向もあるが、PHEVにも将来的に懸念される弱点がある。EVやPHEVを快適に使うためのシステム整備が求められる。