「0円」だらけの店は、なぜ成長できるのか ジモティースポット急拡大の背景:インタビュー劇場(不定期公演)(4/5 ページ)
炊飯器300円、カーテン0円。それでも成長を続ける「ジモティースポット」。不要品リユース140万点という数字の裏側には、プラットフォーム×自治体×地域をつなぐ、静かだが再現性の高いビジネスモデルがあった。
大型店が好調の理由
土肥: ジモティースポットを事業として、さらに大きくできる。このように考えたターニングポイントはありましたか?
野村: 2024年4月に、神奈川県の川崎市に「川崎菅生店」をオープンしました。売り場面積は約350平方メートルで、これまでの店舗と比べて、3〜4倍の広さ。初めての大型店だったので、社内からは「それだけ大きくして、不要品は集まるのか」「集まったとしても、それをリユースできるのか」「これまでの小さな店舗では順調だったけれど、これだけ大きな規模の店だとうまく回らないのではないか」といった不安の声がありました。
土肥: で、結果は?
野村: 2025年の持ち込み点数は18万7500点にのぼり、全店でトップでした。うち94.3%がリユースされ、ゴミの削減効果は638トンに達しました。なぜ、これほどの反響があったのか。繰り返しになりますが、それまでは小規模の店舗ばかりだったので、お客さまは「ここはどんな店なの?」「商品を買い取ってくれるのかな」などと感じ、認知が広がっていなかったんですよね。
店舗の規模を大きくしただけでなく、外観に「地域の不要品持ち込みスポット」という文字を大きく掲げました。そうしたことで「あ、ココはそういった店舗なのね。じゃあ、家にある不要品を持ち込んでみよう」といった人が増えたのかもしれません。
その後、どういった反響があったのか。「持ち込み点数も多く、リユース率も高い」ということで、全国の自治体から「ウチにも、出してくれないか」といった相談が相次ぎました。視察に来られる自治体も多かったわけですが、話をよく聞くと、地域の住民が「ウチの街にもジモティースポットをつくってくれないか」といった声が多いことが分かってきました。
大型店での成果、自治体からの視察、住民からの声――こうした動きが生まれたことによって、このビジネスモデルはまだまだ大きくできるのではないか。小さな店舗でも運営できて、大きな店舗でも循環できる。将来的に、もっと増やせるのではないか、といった未来が見えてきました。
土肥: ふむふむ。ただ、気になるのは売り上げの数字なんですよね。ジモティースポットの関連売上は1億2800万円なので、ちょっと物足りない。持続的に運営するには、どういった課題がありますか?
野村: 店舗を運営していくために、人材を雇用したり、家賃を払ったりしなければいけません。そのためには売り上げを伸ばすことも大事ですが、利用者をもっと増やしていきたいと思っています。その利用者を増やすためには、認知度を向上させなければいけません。
ジモティースポットのようなサービスは、これまでになかったので誤解されることも多いんですよね。例えば「リサイクルショップですか?」とか「買い取ってくれますか?」といった声はまだまだ多い。リユースの拠点であることの認知は広がっていないので、そこをなんとかしていかなければいけません。
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