「チラッと見て退店」から脱却 月商3倍を生んだ、ボードゲーム店の空間改革(3/4 ページ)
「毎月50万円ほど赤字だった」という沖縄県の繁華街に立地するボードゲーム店、どのようにして月商3倍を実現したのか?
「八の字動線」で回遊性向上、カウンターは常連客増に寄与
サイコロ堂シーサイドは入口から手前の物販エリアと奥のプレイスペースが同居するが、開業当初の店内は、その境界が曖昧(あいまい)だった。両エリアともにボードゲームの箱が並ぶ棚は壁沿いが中心で、中央に広い空きスペースがあった。
来店客は入口から奥まで直進し、棚をちらっと見てそのまま退店する人がほとんど。購買・体験への意欲を生み出しづらい空間設計が問題だった。
「店内を歩いて商品を見てもらいたいのに、置いている棚の少なさや背の低さが影響していました。無駄な余白が多すぎました」と振り返る伊東さん。娯楽品を売るためには、もっと宝探しのようなワクワク感を演出する必要があった。
「ダメだと思ったらすぐ変える」を合言葉に、開業して間もなく改装を連続的に実施する。まず手を付けたのが、物販エリアのレイアウト変更だった。
その象徴が動線の描き方だ。高さのある棚を追加して店内を巡るルートを作ったが、一本道だとすれ違いにくく、先客がいると引き返してしまう。そこで、八の字になるように配置して逃げ道を作り、回遊性を高めた。
扱う商品数は当初の約300種類から1000種類規模に拡大。推理や心理戦、バランス系、記憶系など多彩にそろえ、「選ぶ楽しさ」「探す楽しさ」を刺激する売り場に変えた。
入口横にあるレジ周りの設計も見直した。防犯上の合理性を理解しつつも、自身の視線が届く範囲が広すぎると、客に「見られている」という居心地の悪さを与えてしまい、滞在時間を短縮しかねない。実際に「レジ前で自分と目が合って、『あっ』って言ってすぐ帰っていく人もいました」と言う。自身の目の高さに合わせ、レジ上部に板を張り付けて圧迫感を和らげた。
そのほか、各所に植物を配置し、カウンターも整備してゆったりできる環境づくりも進めた。コーヒーなどを提供し始めると会話が増え、常連客が増加。地元客が定着するきっかけになった。
店外では「15メートル先から入店の準備をしてもらえるように」と、通りに対して袖看板を設置し、BGMも流すように。店頭に置いたゴンドラでサイコロを売り、1人でも多く足を止める仕掛けを打った。
さまざまな施策により、客の滞在時間が伸び、それが別の客の足を止める効果を生んだ。伊東さんは「ボードゲームのようにニッチな遊びは、『やってみない?』と言うと、周りからちょっと敬遠されるような風潮もあります。でも、人が集まっているお店だと心理的にふらっと入りやすい。良い循環ができ始めました」と手応えを語る。
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