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【相談】有志の勉強会に来ない新人に低評価をつけたら「パワハラだ」と脅されました。私が間違っていますか?Q&A:これってハラスメント?(3/3 ページ)

職場で起こりがちなトラブルを基に、ハラスメント問題に詳しい佐藤みのり弁護士が詳しく解説します。

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勉強会への参加呼びかけはパワハラになるのか?

 業務外の努力は評価しにくく、例えば「早朝読書会・勉強会」に参加していなくても、自主的に外部の機関の勉強会などに参加し、技術力を高めているかもしれませんし、プライベートの趣味を通して、業務に役立つ技術を習得しているかもしれません。

 「早朝読書会・勉強会」を含め、こうした業務外の努力を人事評価に反映させるのではなく、例えば、全員参加が求められている研修における取組姿勢や、チームで役割分担をして行う業務における貢献度など、業務におけるさまざまな事柄をもとに「自己研鑽の意欲」や「チームへの貢献姿勢」といった項目の評価をするべきでしょう。

 また、人事評価は、労働者の処遇に直結し得るものです。したがって、勉強会への参加・不参加を人事評価に反映させれば、労働者は処遇のために、事実上、勉強会へ参加せざるを得なくなる可能性があります。

 そうであるならば、勉強会への参加を促すことは、業務命令にあたり、勉強会への参加時間は、黙示の指示による「労働時間」と評価される可能性もあります。

 判例上「労働時間」とは「明示または黙示の指示によって、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」であり、「労働時間」と認められれば、その間の賃金の支払い義務が生じることにも注意が必要です。

 なお、パワハラとは「職場において行われる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)のすべての要素を満たすもの」とされています。

 そして(2)業務上の必要性や相当性については、問題となった言動の目的、経緯、状況、態様、頻度、継続性、言われた側の従業員の属性や心身の状況、行為者との関係性などを総合的に考慮して判断されます。

 勉強会への参加をお願いしただけでは、パワハラにはあたりません。ただし、人事評価をちらつかせて、本来任意参加の勉強会に強制的に参加させるようなことがあれば、具体的な事情にもよりますが、違法なパワハラにあたる可能性もあるでしょう。

 任意の勉強会への不参加を理由に、人事評価の中で低評価をしたとしても、直ちにパワハラの問題にはならないと考えられます。それは、前述の人事評価における裁量権の逸脱や濫用の問題として、別途検討されることになるでしょう。

※当記事の相談内容は、編集部が想定した架空のケースをもとに作成しています。

佐藤みのり 弁護士

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慶應義塾大学法学部政治学科卒業(首席)、同大学院法務研究科修了後、2012年司法試験に合格。複数法律事務所で実務経験を積んだ後、2015年佐藤みのり法律事務所を開設。ハラスメント問題、コンプライアンス問題、子どもの人権問題などに積極的に取り組み、弁護士として活動する傍ら、大学や大学院で教鞭をとり(慶應義塾大学大学院法務研究科助教、デジタルハリウッド大学非常勤講師)、ニュース番組の取材協力や法律コラム・本の執筆など、幅広く活動。ハラスメントや内部通報制度など、企業向け講演会、研修会の講師も務める。


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