1勝15敗で、なぜ生き残れたのか アキッパの「やめる」意思決定:「撤退」の論理(4/4 ページ)
事業をやめる判断は難しい。アキッパは17事業中15を撤退し、ほぼ1つに集中した。1勝15敗ともいえる歩みの中で見えてきた、やめることで勝ち筋を見つける経営とは何かを追った。
1勝15敗
冒頭で「いまはほぼアキッパ一本に絞っている」と紹介したが、同社は11年ぶりに新規事業に踏み出した。2025年にリリースした「エンチケ」は、ライブチケットの販売に加え、ファン同士やアーティストとつながれる音楽SNS機能を組み合わせたサービスだ。ただし、かつてのように「思いついたからやる」わけではない。同社の強みである「移動」と「体験」をつなぐ事業だ。
エンチケから撤退する可能性はあるのか、という質問に対し、金谷社長は「それは分からない。やってみないとね」と、なにがなんでも続けるのではなく、状況を見ながら判断していく考えのようだ。
ここまでの戦績を振り返ると、アキッパは1勝15敗(エンチケは含まず)。数字だけ見ると、なかなかの負け越しだ。それでも、最後に残った1つが、いまの主力事業になっている。
やめることを重ねてきたからこそ、何を残すべきかが少しずつ見えてきたのかもしれない。
取材メモ:
・企業が生き残るために、今すぐ捨てるべき「もっとも罪深いもの」は何だと思われますか?
金谷社長: プライドだと思います。大きく見せるより、自己開示して社内で一丸となったほうが、みんなの力を発揮できます。
・金谷社長にとって、「良い撤退」と「悪い撤退」の違いは何でしょうか?
金谷社長: 良い撤退は、言語化ができていて、未来につながるものだと思います。悪い撤退はその逆だと思っています。
・「せっかく投資したから」「長年の付き合いだから」と足踏みしているリーダーに対し、金谷社長ならどんな言葉をかけますか?
金谷社長: どういうパターンになっても事業の撤退を決断できない場合、リソースがそこに奪われてしまうので、より成長できる機会を失ってる可能性があると思います。長年だらだら続いているなら、今一度撤退基準を設けるなども一つかと思います。
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