老舗寝具メーカーの「とろふわ」布団、なぜ生まれた? “生活者の言葉”で語る重要性:テストマーケティングから見るプロダクトの近未来(1/2 ページ)
AIのおかげで、キャッチコピーは簡単に作れるようになった。そんな時代に他社と差別化してヒット商品を生み出すには、何が必要なのか。
テストマーケティングから見るプロダクトの近未来
企業の新商品・サービスの挑戦を支援するプラットフォーム、Makuake。ここでは日夜、新たなコンセプトを持った商品が企画され、ユーザーの厳しい目にさらされている。多くの支持を集めた商品にはどのような特徴があるのか。本連載では既に終了したプロジェクトを振り返り、成功の要因からプロダクト開発の近未来を探る。
生成AIの普及によって、商品アイデアやコピーは誰でも簡単に生み出せる時代になりました。一方で、企業の提案が似通い、商品価値の差が見えにくくなるリスクも高まっています。
そんな中で次々とヒット商品を生み出しているのが、老舗寝具メーカーで知られるnishikawaです。老舗企業でありながらAI活用を積極的に進めていますが、その特徴は「生活者の声」を重視している点にあります。
今回は、nishikawaがどのようにAIで効率化を図りながら、“生活者のリアルな声”を起点に人気商品を生み出したのかを紹介したいと思います。
寝具なのに「ふわふわ」「とろける」
nishikawaは羽毛布団「torofuwa」を応援購入サービス「Makuake」で販売し、応援購入総額2400万円を超える大ヒットとなりました。
nishikawaはこの羽毛布団の企画にあたり、生活者の声を分析できる「Makuakeインサイト」を活用。生活者のニーズの理解を深めるとともに、AIを活用して分析内容を整理し、仮説を立て、検証していきました。
寝具カテゴリ全体の購入者のコメントをAIで分析すると、興味深い共通点に気付きました。生活者の多くが、寝心地の良さを説明する際、「ふわふわ」「とろける」といった、寝具とは一見かけ離れた言葉を使っていたのです。
さらにコメントを詳しく見ていくと、「自宅で洗える」「オールシーズン使える」「軽くて扱いやすい」といった、生活に根ざしたリアルなニーズも浮かび上がりました。
こうした声を受け、nishikawaは従来の「羽毛量」や「保温性」といった機能性中心の訴求ではなく、生活者が自然に使う言葉やニーズを軸に、商品コンセプトを再構築したのです。
著者プロフィール:早川将司(はやかわ・まさし)
株式会社マクアケ MIS事業部 新規事業開発プロデューサー
1986年生まれ。2009年法政大学卒業後、ブライダルプロデュース会社、マーケティング会社、デザインコンサルティングファームを経て2020年に株式会社マクアケに参画。入社後からはMakuakeでの先行販売時におけるコンサルティングだけでなく、新商品やサービスの企画・開発段階から新規事業立ち上げに至るまで一貫した支援を行うMIS事業部にて新規事業開発プロデューサーとして従事。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
カード型のエナジードリンク? UHA味覚糖のゲーマー向け商品が、“ゲーマー以外”からも支持されるワケ
ゲーマー向けに開発されたカード型のエナジードリンク。結果として、ゲーマー以外からも支持を集めている理由は何なのか?
タイパ・コスパの次は「スペパ」? 全自動コーヒーメーカーが、1400万円超えのヒットとなったワケ
豆をひかずに手軽に作れ、置き場所にも困らない全自動コーヒーメーカーが支持を集めている。1400万円を超えるヒットとなった製品の裏にある、考え方とは?
“ホースのない”布団乾燥機 累計3.7億円を売り上げたデザインの秘密
大きくて使うのも面倒だった従来の布団乾燥機。そのデザインを大幅に変更したことで、大きな反響を呼んだ商品がある。ホースのない布団乾燥機は、いかにして誕生したのか?
「買わなかった顧客の声」にヒントあり 革製品ブランドが見つけた、新規顧客獲得の鍵
新規顧客獲得のために「買わなかった顧客の声」に耳を傾けた企業がある。その企業はどのように「声」を集め、製品に反映させたのか。
万博・日本館で採用された「雪駄スニーカー」 開発時にこだわった“考え方”
万博で採用されている日本風のスニーカー。その開発には、単に「伝統×革新」を実現するだけではない工夫があった。



