『ぴあ』が15年ぶりに“紙”で復活 出版不況の今、あえて雑誌を出す理由(1/5 ページ)
15年ぶりに『ぴあ』が紙の雑誌として復活する。出版不況の中で、なぜ今あえて雑誌を出すのか。背景には、デジタルメディアの課題と、紙を起点に接点を広げる新たな戦略があった。
エンタメ情報誌『ぴあ』が、月刊誌『とぶ!ぴあ』として4月6日に復活する。1972年に創刊した同雑誌は映画や演劇、音楽などの公演情報を網羅的に掲載し、最盛期には約100万部を発行し、若者のエンタメ体験を支えた。
2011年にインターネットの普及に伴い休刊したが、15年を経て復刊を発表。書店からの注文が相次ぎ、想定を上回る反響を呼んでいる。なぜ今、「紙」の雑誌を復活させるのか。
復活する『とぶ!ぴあ』は、B5判・約100ページのフルカラーで価格は1000円。初版は2万部を予定しており、「雑誌が売れない」と言われる時代において、15年のブランクを経た復刊としては前向きな部数設定といえる。
東京・大阪・名古屋の三大都市圏の書店を中心に、東宝シネマズの劇場売店やAmazonでも販売する。
紙面ならではの仕掛けとして、「両面表紙」と呼ばれる両開き構造を採用した。片面は、往年の『ぴあ』の顔だったイラストレーター・及川正通氏が手掛ける情報面の表紙で、反対側は人気キャラクターなどのIPコンテンツによる特集面の表紙だ。
それぞれの面からページ番号を振り、情報面と特集面をほぼ半々で構成している。
誌面にはQRコードを配置し、スマホで読み取ると、上映・上演のタイムテーブルや詳細なスケジュール、インタビューの続き、さらにはチケット購入画面にアクセスできる仕様とした。作品情報には、AIがWeb上のトレンドを抽出して付与したハッシュタグも添えられており、今の話題を直感的に把握できる。
雑誌でありながら、デジタルへの「入口」として機能する設計だ。
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