インタビュー
『ぴあ』が15年ぶりに“紙”で復活 出版不況の今、あえて雑誌を出す理由(2/5 ページ)
15年ぶりに『ぴあ』が紙の雑誌として復活する。出版不況の中で、なぜ今あえて雑誌を出すのか。背景には、デジタルメディアの課題と、紙を起点に接点を広げる新たな戦略があった。
なぜ今、紙なのか
復刊の背景には、意外にもデジタル側の課題があった。デジタルメディアサービス事業局 局長の岡政人氏は「紙の『ぴあ』がなくなった後、デジタルで復活していることを知らない人がまだ多い」と語る。
休刊した雑誌の提供価値を引き継ぐ形で、2018年にアプリとWebサイトによるデジタル版『ぴあ』を立ち上げた。映画、音楽、演劇、アート、クラシックなど多ジャンルの公演情報を横断的に掲載するメディアだが、その存在は十分に浸透していないと同社は考えた。
2025年4月、ぴあ(東京都渋谷区)の創業者で社長の矢内廣氏から「デジタルを知ってもらうために紙はどうか」というアイデアがあった。当初は、PDF配布やフリーペーパーなど複数の形態を検討したという。
その後、紙面とQRコードを組み合わせた有料雑誌として成り立たないかという議論に発展。飲食店のメニュー確認などを通じて、QRコードが幅広い世代に定着していたことも追い風となった。
つまり、「紙の復権」のために復活したというより、デジタルメディアへの接点を広げる手段として紙を選んだ。また、紙にはデジタルにない価値もある。検索やレコメンドでは、自分の好みに情報が偏りがちだが、紙面をパラパラとめくる中で未知の作品と出会える「偶然の発見」は、紙ならではの体験だ。
とはいえ、紙の雑誌を新たに発行するにはコストがかかる。このハードルを下げたのがAIと自動組版の活用だ。
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