4月の「期待の新人」が5月に消える理由――「放任主義」上司が支払う代償:「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/4 ページ)
かつては「5月病」と呼ばれ、大型連休明けにおける、サラリーマンがさいなまれる無気力感として語られてきた。しかし現在は、そんな悠長な話ではないのだ。「5月退職」どころか「4月退職」が現実になりつつある。
管理職が今日からできる3つのこと
では、これまでの内容を踏まえ、管理職が今日からできることを整理しよう。
入社直後から「小さな接点」を意図的に作る
毎日5分でいい。「困っていることはないか」「分からないことはないか」と声をかける。これだけで、新人の孤立感は大きく軽減される。形式的な1on1ミーティングを月1回やるよりも、日常のなかでの短い対話を毎日続けるほうが効果的だ。新人にとっては「気にかけてもらえている」という実感が、何よりも大きな安心材料になる。
「斜めの関係」を意図的に設計する
直属の上司だけでなく、年齢の近い他部署の先輩を「メンター(相談役)」としてつける。上司には言いにくい悩みでも、斜めの関係にいる先輩になら相談しやすい。「直属の上司に言ったら評価が下がるのではないか」。新人はそう考える。だからこそ、評価に直結しない相手との接点が必要なのだ。この「逃げ道」があるかどうかで、新人の定着率は大きく変わる。
新人研修で「三面等価の法則」を叩き込む
責任・権限・義務の3つは、入社初日に伝えるべき原理原則だ。そしてそれを、一度きりではなく、繰り返し伝え続ける。この原理原則が組織の共通言語になったとき、新人は「相談していいんだ」「報告しなければいけないんだ」と自然に行動できるようになる。
この3つに共通するのは「意図的に」という言葉だ。放任主義の対極は「管理主義」ではない。「意図的な関与」である。新人の自主性を尊重しながらも、必要な場面では確実に手を差し伸べる。このバランスが、新人の定着を左右する。
「期待の新人」を守れるのは、直属の上司だけだ
新入社員の早期離職は、本人だけの問題ではない。採用コスト、教育コスト、残されたメンバーへの業務のしわ寄せ、チーム全体の士気低下――1人の新人が辞めることで、組織が支払う代償は想像以上に大きい。
そして、その代償を最も直接的に支払うのは、直属の上司である。
「あの子はうちに合わなかった」で済ませるのは簡単だ。しかし、それを繰り返していれば、やがてチームそのものが崩壊する。4月に迎えた「期待の新人」を5月に失わないために、管理職は今日から動き出す必要がある。
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